遺言はいつから効力が生じる?停止条件付き遺言の効力発生時期も解説

遺言は、作成した時点ですぐに効力が生じるのでしょうか。それとも、遺言者が亡くなった後に効力が生じるのでしょうか。

結論として、遺言は原則として、遺言者が死亡した時から効力を生じます。ただし、遺言に停止条件が付いており、その条件が遺言者の死亡後に成就した場合は、条件が成就した時から効力が生じます。

遺言の効力は原則として遺言者の死亡時から生じる

遺言を作成した時点ではなく、死亡した時が基準

遺言は、生前に作成しただけで、その内容に沿った財産の移転などが直ちに起こるものではありません。原則として、遺言者が死亡した時から効力が生じます。

たとえば、父が生前に「長男に自宅を相続させる」と遺言していたとしても、父が存命の間に長男が自宅を取得するわけではありません。父が死亡した時点で、遺言の効力が生じます。

また、遺言者は死亡するまで、遺言の内容を撤回したり変更したりできます。そのため、作成済みの遺言であっても、死亡前から確定的に効力が発生しているとはいえません。

停止条件付き遺言は、死亡後に条件が成就した時から効力が生じる

停止条件付き遺言とは

停止条件付き遺言とは、一定の事実が起きることを条件として、遺言の効力を発生させるものです。停止条件とは、条件が実現するまで法律上の効果を発生させない仕組みを指します。

この場合は、遺言者の死亡だけでなく、定められた条件が成就したかどうかも効力発生に関係します。

遺言者の死亡後に条件が成就した場合

遺言に停止条件が付いており、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、民法985条2項により、条件が成就した時から遺言の効力が生じます。

たとえば、「孫が大学を卒業したら、預金の一部を孫に遺贈する」という遺言があり、遺言者の死亡後に孫が大学を卒業した場合、卒業した時点で遺言の効力が生じます。死亡時に直ちに効力が発生するのではなく、条件の成就まで待つ点が通常の遺言と異なります。

遺言の効力発生時期のまとめ

遺言の効力がいつから生じるかは、次のように整理できます。

遺言の種類 効力が生じる時期
通常の遺言 遺言者が死亡した時
停止条件付き遺言 遺言者の死亡後、条件が成就した時

このように、遺言は作成時から効力が生じるわけではありません。通常は死亡時、停止条件付き遺言では、死亡後に条件が成就した時が効力発生時期となります。なお、効力が生じる時期と、遺言の内容を実際に実現する手続である遺言の執行は、別の問題として考える必要があります。