募集社債とは?発行手続の全体像
募集社債の意味
募集社債とは、会社が募集を行い、その申込みをした者に割り当てる社債をいいます(会社法676条)。社債は、会社を債務者とする金銭債権であり、あらかじめ定めた条件に従って、将来、償還(返済)されます。
株式の発行とは異なり、社債を発行しても、株主数、資本金、発行済株式総数は増加しません。なお、社債は株式会社だけでなく、持分会社も発行できます。
募集社債の発行手続の流れ
- 募集社債の発行条件などを決定する
- 申込みをした者に社債を割り当て、発行する
- 社債券を発行する旨を定めていた場合は、社債券を発行する
- 社債原簿を作成する
社債券を発行するかどうかにかかわらず、社債原簿の作成は必要です。
募集社債の発行事項を決める機関
株式会社では取締役または取締役会が決定する
株式会社における社債の発行と募集社債事項の決定は、公開会社か非公開会社かにかかわらず、次の機関が行います。
- 取締役会設置会社:取締役会の決議
- 取締役会設置会社ではない会社:取締役
募集社債事項とは、会社法676条各号に定められた、社債の発行条件などを指します。会社はこれらを定めたうえで、募集に応じた申込者に社債を割り当てます。募集株式とは異なり、公開会社かどうかによって、原則となる決定機関が変わる仕組みではありません。
社債券と社債原簿の作成
社債券を発行する場合
会社が「社債券を発行する」と定めた社債を発行したときは、会社は遅滞なく、その社債に関する社債券を発行しなければなりません(会社法696条)。一方、社債券を発行しない形で社債を発行する場合もあります。
社債原簿は社債券の有無にかかわらず作成する
社債発行会社は、発行した社債を管理するため、社債を発行した日以後、遅滞なく社債原簿を作成しなければなりません(会社法681条1項)。社債原簿は、発行した社債を管理するための記録です。
| 区分 | 社債券 | 社債原簿 |
|---|---|---|
| 発行する旨を定めた場合 | 遅滞なく発行が必要 | 作成が必要 |
| 発行しない場合 | 発行しない | 作成が必要 |
記名社債と無記名社債
記名社債は、社債原簿や社債券に社債権者の氏名・名称が記載される社債です。これに対して無記名社債は、社債原簿や社債券に社債権者の氏名・名称が記載されません。いずれの場合も、社債発行会社には社債原簿の作成義務があります。
まとめ:募集社債の発行手続で押さえるポイント
- 募集社債は、募集に応じた者に会社が割り当てる社債である
- 発行事項は、公開会社かどうかにかかわらず、取締役または取締役会が決定する
- 社債券を発行すると定めた場合は、遅滞なく社債券を発行する
- 社債券の有無にかかわらず、発行後、遅滞なく社債原簿を作成する
実務では、募集社債の発行にあたり、まず決定機関を確認し、その後、社債原簿を作成する時期を見落とさないことが重要です。
