株式会社を設立するとき、発起人は引き受けた設立時発行株式について、出資を履行しなければなりません。出資の方法には、金銭を払い込む方法と、金銭以外の財産を提供する現物出資があります。
では、発起人が払込みをしなかった場合、すぐに株主となる権利を失うのでしょうか。この記事では、発起人による出資の履行内容と、履行しない場合に失権するまでの流れを解説します。
発起人の出資の履行とは
発起人は引受け後、遅滞なく出資を履行する
発起人は、設立時発行株式を引き受けた後、遅滞なく出資の全額を履行しなければなりません。金銭を出資する場合は、引き受けた株式に対応する金額を全額払い込みます。
一部の金額だけを払い込んでも、出資を履行したことにはなりません。株式の引受けに対応する出資額を、全額払い込む必要があります。
現物出資の場合は財産全部を給付する
現物出資とは、金銭以外の財産を会社設立のために提供することです。現物出資をする発起人は、出資の対象となる財産を全部給付しなければなりません。
もっとも、発起人全員の同意がある場合は、登記や登録など、第三者に権利を主張するために必要な手続きを、株式会社の成立後に行うことが認められます。これは、財産そのものの給付を後回しにできるという意味ではなく、対抗要件の手続きに関する例外です。
発起人が払込みをしない場合の失権
最初の履行期日を過ぎただけでは直ちに失権しない
発起人の中に出資を履行していない人がいる場合、発起人はその人に対して、改めて履行期日を定めます。そして、その期日までに出資を履行しなければならないことを通知します。
この通知は、定めた履行期日の2週間前までに行わなければなりません。そのため、最初に決められた履行期日までに払込みをしなかったとしても、その時点で当然に失権するわけではありません。
通知された期日までに履行しないと失権する
改めて定められた履行期日までに、通知を受けた発起人が出資を履行しなかった場合、その発起人は設立時発行株式の株主となる権利を失います。これを「失権」といいます。
失権までの流れは、次のとおりです。
- 発起人が出資を履行しない
- 発起人が改めて履行期日を定める
- その期日の2週間前までに、対象となる発起人へ通知する
- 通知された期日までに履行しなければ、設立時発行株式の株主となる権利を失う
まとめ
- 発起人は、設立時発行株式の引受け後、遅滞なく出資全額を履行する必要がある
- 金銭による出資では、対応する金額を全額払い込む
- 現物出資では、対象となる財産全部を給付する
- 最初の履行期日を過ぎただけで、直ちに失権するわけではない
- 追加で定められた期日の2週間前までに通知を受け、その期日までに履行しなければ失権する
