株式等売渡請求とは、対象会社の議決権を10分の9以上持つ「特別支配株主」が、対象会社の株主全員に対し、その有する株式の全部を自分に売り渡すよう求める制度です。
対象会社の取締役の過半数による承認のみで手続を進められるため、対象会社を簡易かつ迅速に完全子会社化できる点に特徴があります。ここでは、制度の意味や利用できる株主の条件を説明します。
株式等売渡請求とは
特別支配株主が株主全員に売渡しを求める制度
株式会社の特別支配株主は、対象会社の株主全員に対して、それぞれが持つ対象会社の株式をすべて自分に売り渡すよう請求できます。
一部の株主だけを選んで買い取る制度ではなく、対象会社の株主全員が請求の対象となります。その結果、株式を特別支配株主に集め、対象会社を完全子会社にすることが可能です。
株主総会を経ずに進められる
株式等売渡請求では、対象会社の取締役の過半数による承認で手続を進めます。
取締役会設置会社では、取締役会の決議による承認が必要です。株主総会の決議を要しないため、簡易かつ迅速に完全子会社化を進められます。
利用できる特別支配株主の要件
議決権の10分の9以上を持っていること
特別支配株主になれるのは、対象会社以外の者で、対象会社の総株主の議決権の10分の9以上を有する者です。
基準となるのは株式の数ではなく、議決権の割合です。そのため、株式を多く保有していても、議決権が10分の9に達していなければ、この制度は利用できません。
完全子法人の議決権も関係する
判定では、特別支配株主本人が持つ議決権だけでなく、その者が発行済株式の全部を保有する「特別支配株主完全子法人」が有する議決権も関係します。これらを踏まえて、10分の9以上の要件を満たすか判断します。
株式等売渡請求の進み方
- 売渡請求をする
特別支配株主が、対象会社の株主全員に対し、その有する株式の全部を売り渡すよう請求します。 - 対象会社が承認する
対象会社の取締役の過半数による承認を受けます。取締役会設置会社では、取締役会の決議を行います。 - 株式を集約する
請求の対象となる株主全員の株式が特別支配株主に集まり、対象会社は完全子会社となります。
まとめ
- 株式等売渡請求は、特別支配株主が株主全員に株式の全部の売渡しを求める制度
- 利用できるのは、総株主の議決権の10分の9以上を有する特別支配株主
- 特別支配株主完全子法人が有する議決権も要件の判断に含まれる
- 対象会社の取締役の過半数の承認が必要で、取締役会設置会社では取締役会決議を行う
- 株主総会を経ずに、対象会社を完全子会社化できる
