民法総則とは、物権や債権などの財産法に共通する基本的なルールを定めた部分です。民法は、私人と私人の関係を規律する私法であり、財産や家族に関するさまざまなルールを定めています。そのうち、財産に関する分野を理解するには、総則・物権・債権の関係を押さえることが大切です。
民法総則とは
財産法に共通するルール
民法総則は、民法の第1編に置かれています。物権や債権について個別に定める前に、これらに共通する基本事項をまとめたものです。
主な内容は、次のとおりです。
- 通則
- 人
- 法人
- 物
- 法律行為
- 期間の計算
- 時効
例えば、契約を結んだ当事者が未成年者である場合に契約の効力がどうなるか、相手にだまされて契約を結んだ場合に取り消せるか、といった問題を扱います。このように、総則は特定の物や契約だけを対象にするのではなく、物権や債権などの財産法に共通する抽象的なルールを定めています。
物権・債権と民法総則の関係
物権とは
物権とは、土地、建物、自動車などの物に関する権利です。代表的なものが所有権で、所有者はその物を使用したり、他人に貸したり、売ったりできます。
債権とは
債権とは、人に対して何かを請求する権利です。債権は、物そのものに関する権利ではなく、特定の相手に対して一定の行為を求める権利です。
総則が共通して適用される理由
物権と債権は、物に関する権利か、人に関する権利かという違いがあります。しかし、どちらにも、未成年者がした法律行為の効力や、だまされてした法律行為を取り消せるかといった共通の問題が生じます。
そこで、物権や債権に共通するルールを、民法総則にまとめています。
具体例で見る三者の関係
たとえば、Aさんが自家用車を50万円でBさんに売る契約をした場合を考えます。Aさんが自家用車の持ち主であることは、物に関する権利であるため物権の問題です。
一方、AさんにはBさんに自家用車を引き渡す義務が生じ、Bさんに50万円を支払ってもらう権利を取得します。Bさんにも、Aさんに50万円を支払う義務と、Aさんに自家用車を引き渡してもらう権利が生じます。これらは、人に関する権利であるため債権にあたります。
さらに、Aさんが未成年者の場合に契約が有効になるのか、AさんがBさんにだまされて自動車を1万円で売ってしまった場合に契約を取り消せるのか、といった問題について定めるのが民法総則です。
まとめ
民法総則とは、物権や債権などの財産法に共通する基本ルールを定めた部分です。物権は物に関する権利、債権は人に対して何かを請求する権利を意味します。民法を学ぶときは、総則が財産法に共通するルールを定め、物権と債権が個別の財産関係を定めているという全体像を意識すると、各制度のつながりを理解しやすくなります。
