詐害行為取消権を行使できる債権とは?金銭債権・発生原因・強制執行の要件

詐害行為取消権は、債務者が債権者を害することを知りながら一般財産を減少させる行為をした場合に、その行為を取り消し、一般財産を保全・回復する制度です。ただし、どのような債権でも行使できるわけではありません。

取消しによって保全しようとする債権を被保全債権といい、主に次の要件が必要です。

  • 原則として金銭債権であること
  • 詐害行為前の原因に基づいて発生したこと
  • 強制執行によって実現できること

詐害行為取消権の被保全債権とは

被保全債権の意味

被保全債権とは、詐害行為取消権によって保全しようとする債権です。詐害行為取消権は、債務者の一般財産を保全・回復する制度であるため、被保全債権は原則として金銭債権でなければなりません。

被保全債権は原則として金銭債権

詐害行為取消権は一般財産を保全・回復する制度であるため、被保全債権は原則として金銭債権でなければなりません。

特定物債権が例外的に認められる場合

特定の建物の引渡しや、特定の不動産の登記移転を求める特定物債権は、原則として被保全債権にはなりません。

もっとも、特定物債権が最終的に損害賠償債権に変わり得る場合には、例外的に認められることがあります。たとえば、建物の引渡し請求権や登記移転請求権について、その建物が債務者によって悪意の第三者に代物弁済された場合などです。このような特定物債権は、債務者の一般財産によって担保される必要性が金銭債権と同様であるため、詐害行為取消権の行使が認められることがあります。

発生原因と強制執行の要件

詐害行為前の原因に基づいて発生していること

被保全債権は、詐害行為の前の原因に基づいて発生していなければなりません(民法424条3項)。

そのため、債権が詐害行為の後に発生した場合でも、その債権の発生原因が詐害行為前にあれば、詐害行為取消請求をすることができます。

強制執行によって実現できること

被保全債権は、強制執行によって実現できるものでなければなりません(民法424条4項)。強制執行によって実現できない債権については、詐害行為取消請求をすることができません。

なお、以上の要件を満たしていても、債務者の行為が財産権を目的とした詐害行為に当たることや、受益者・転得者が悪意であることなど、別の要件も必要です。

まとめ

  • 被保全債権は、原則として金銭債権です。
  • 特定物債権でも、最終的に損害賠償債権となり得る場合には例外的に認められることがあります。
  • 詐害行為前の原因に基づいて発生していることが必要です。
  • 債権の発生日が後でも、発生原因が前にあれば要件を満たす場合があります。
  • 強制執行によって実現できる債権でなければなりません。