許認可権限を背景とする行政指導とは?不当な圧力の禁止と必要な説明事項

行政機関から、許可を得るために申請内容を変更するよう求められたり、許可に関連して一定の対応を促されたりすることがあります。このような働きかけが行政指導に当たる場合、相手方の任意の協力によって実現されるのが原則です。

そのため、許認可等をする権限を背景に、行政指導に従うよう事実上強制することは許されません。ここでは、行政手続法上のルールを説明します。

行政指導と許認可権限の関係

行政指導は、相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであり、行政処分とは異なります。行政指導だけで法律上の義務を課したり、権利を制限したりすることはできません。また、行政指導に従わなかったことを理由に、不利益な取扱いをすることも禁止されています。

許認可権限を利用した不当な圧力は禁止

行政手続法34条は、許認可等をする権限、または許認可等に基づく処分をする権限を持つ行政機関について、次の行為を禁じています。

  • その権限を行使できない、または行使する意思がない場合に、権限を行使できることを殊更に示す
  • その結果、相手方に行政指導への服従を余儀なくさせる

つまり、権限を行使できる旨を殊更に示すことによって、相手方に行政指導への服従を余儀なくさせてはなりません。

また、申請の取下げや内容変更を求める行政指導では、申請者が従わない意思を示したにもかかわらず行政指導を継続することなどにより、申請者の権利の行使を妨げてはなりません。

建築確認については、建築主が行政指導への不協力・不服従の意思を表明している場合、行政指導が行われていることだけを理由に確認処分を留保することは、特段の事情がない限り違法とされています。

行政機関が示すべき説明事項

行政指導を行うときは、次の3点を明確に示さなければなりません。

  1. 行政指導を行う趣旨
  2. 行政指導の内容
  3. 行政指導の責任者

口頭で伝えられた場合でも、相手方がこれらの事項を記載した書面を求めれば、行政上特別の支障がない限り、書面を交付しなければなりません。ただし、その場で完了する行為や、すでに文書・電磁的記録で通知された内容と同一の行政指導については、改めて書面を交付する必要はありません。

さらに、行政機関が許認可等をする権限、または許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示す場合は、次の事項も示す必要があります。

  1. 権限行使の根拠となる法令の条項
  2. その条項に規定された要件
  3. 当該権限の行使が、その要件に適合する理由

行政指導を受けたときは、求められている対応だけでなく、行政指導の趣旨や内容、責任者が明確に示されているかを確認することが重要です。