自治紛争処理委員とは、地方自治法に基づき、地方公共団体相互間などの紛争を調停したり、都道府県の機関による関与を審査したりする制度です。
自治紛争処理委員とは
自治紛争処理委員の役割
自治紛争処理委員は、地方自治法251条1項に基づき、主に次の事務を扱います。
- 普通地方公共団体相互間、またはその機関相互間の紛争の調停
- 普通地方公共団体に対する都道府県の機関による関与の審査
ここでいう「関与」とは、都道府県の機関が、地方公共団体の事務について助言、資料提出の要求、是正の要求、許可・認可・承認、指示などを行うことです。
国地方係争処理委員会との違い
紛争の相手方によって利用する制度が異なります。国と普通地方公共団体との間の紛争は、国地方係争処理委員会が扱います。一方、都道府県と市町村の間や、普通地方公共団体の機関相互間の紛争などは、自治紛争処理委員の対象です。
地方公共団体間の紛争を調停する手続
調停の対象となる紛争
対象となるのは、都道府県と市町村、市町村同士など、普通地方公共団体相互間の紛争です。また、普通地方公共団体の機関相互間の紛争も含まれます。ただし、地方自治法に特別の定めがある場合は、その定めが適用されます。
委員の選任と調停開始
当事者が文書で申請した場合のほか、職権により調停に付されることがあります。都道府県または都道府県の機関が当事者であれば総務大臣、それ以外の場合は都道府県知事が自治紛争処理委員を任命します。
調停案の提示と受諾の勧告
自治紛争処理委員は、紛争解決のために調停案を作成し、当事者に示して受諾を勧告できます。調停案の要旨は、理由を付して公表できます。受諾を勧告した場合は、直ちに調停案の写しを添えて、その旨と調停の経過を総務大臣または都道府県知事に報告します。
都道府県の関与に不服がある場合の審査
審査の対象
普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与のうち、自治紛争処理委員が扱うのは、都道府県の機関による関与です。国の行政機関による関与は、国地方係争処理委員会が扱うため、区別が必要です。
審査手続の概要
普通地方公共団体の長その他の執行機関が、文書で審査を申し出ます。自治紛争処理委員は、都道府県の関与について審査し、必要があると認めるときは、関係する都道府県の機関に必要な措置を講ずるよう勧告します。審査結果や勧告の内容は、関係者への通知や公表の対象となります。手続は、国地方係争処理委員会による国の関与の審査とほぼ同様です。
まとめ
自治紛争処理委員は、地方公共団体間などの紛争を扱う地方自治法上の制度です。主な役割は、普通地方公共団体相互間・機関相互間の紛争を調停することと、都道府県の機関による関与を審査することです。国が相手方となる場合は、国地方係争処理委員会を利用します。
