取締役が会社の目的の範囲外の行為や、法令・定款に違反する行為をしようとしている場合、一定の要件を満たす株主は、その行為をやめるよう求めることができます。これを株主による差止請求といいます。
差止請求は、違反行為がすでに行われた場合に限られません。これからそのような行為が行われるおそれがある場合にも利用できる、株主の監督権です。
株主による取締役の違法行為差止請求とは
差止請求の意味
会社法360条は、一定の株主が、取締役に対して会社の目的の範囲外の行為や法令・定款に違反する行為をやめるよう請求できる制度を定めています。
たとえば、取締役が、定款に定められた会社の事業目的に含まれない新規事業を進めようとしているケースが考えられます。その行為によって会社に大きな損害が生じるおそれがあれば、要件を満たす株主は差止めを求められる可能性があります。
差止請求の対象となる行為
対象となるのは、次のような行為です。
- 会社の目的の範囲外の行為
- 法令に違反する行為
- 定款に違反する行為
- 上記の行為をするおそれ
差止請求が認められるための要件
株主側の要件
原則として、差止請求ができるのは、6か月前から継続して1株以上を保有している株主です。短期間だけ株式を保有している株主は、原則としてこの要件を満たしません。
取締役の行為に関する要件
取締役が、会社の目的の範囲外の行為、法令違反行為、定款違反行為をしていること、またはそのおそれが必要です。
会社に損害が生じるおそれ
さらに、その行為によって会社に損害が生じるおそれも必要です。原則として、単に問題のある行為というだけでは足りず、会社に著しい損害が生じるおそれが求められます。
会社の機関設計による差止請求の違い
原則:著しい損害が生じるおそれ
監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社以外の会社では、会社に著しい損害が生じるおそれが要件となります。
例外:回復することができない損害が生じるおそれ
一方、監査役設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社では、取締役を監督する機関が置かれています。そのため、株主が差止請求をするには、「著しい損害」よりも厳しい回復することができない損害が生じるおそれが必要です。
原則と例外の整理
- その他の会社:著しい損害が生じるおそれ
- 監査役設置会社など:回復することができない損害が生じるおそれ
まとめ
株主による取締役の違法行為差止請求は、取締役による会社の目的の範囲外の行為、法令違反行為、定款違反行為などを中止させるための制度です。
原則として、6か月前から継続して1株以上を保有する株主が請求できます。また、通常は著しい損害が生じるおそれが必要ですが、監査役設置会社などでは、回復することができない損害が生じるおそれが求められます。
