アクセス権とは、国民がマスメディアを利用して、自分の意見を社会に表明することを求める考え方です。代表的なものとして、反論権や意見広告掲載請求権が挙げられます。
もっとも、アクセス権の考え方があるからといって、直ちに裁判で掲載を強制できるわけではありません。マスメディア自身にも、何を掲載・報道するかを決める表現の自由があるためです。
アクセス権とは
マスメディアを利用して意見を表明する権利
アクセス権は、マスメディアを通じて、個人や団体が自分の意見を表明する機会を求めるものです。表現の自由に関する「新しい人権」の一つとして説明されることがあります。
代表例には、次の2つがあります。
- 反論権
- 意見広告掲載請求権
アクセス権が問題となる理由
マスメディアを利用できれば、個人や団体の意見を広い範囲に届けられます。しかし、掲載を求める権利を広く認めると、新聞社などに特定の内容を掲載するよう強制することになります。これは、マスメディアが自らの判断で表現する自由を制限するおそれがあります。
反論権と意見広告掲載請求権の違い
反論権とは
反論権とは、新聞などに自分についての内容が掲載された場合に、同じ媒体で反論文を掲載するよう求める権利です。すでに掲載された内容に対して反論することを目的とする点が特徴です。
意見広告掲載請求権とは
意見広告掲載請求権とは、新聞などに自分や団体の意見広告を掲載するよう求める権利です。反論権が掲載内容への反論を目的とするのに対し、こちらは意見広告そのものの掲載を求めます。いずれも、アクセス権の代表例です。
アクセス権は具体的な権利として認められるのか
法律の根拠がなければ、原則として請求できない
アクセス権という考え方と、裁判で掲載を強制できる具体的な請求権は別のものです。特別な法律がない限り、マスメディアに対して反論文や意見広告の掲載を強制する具体的な権利は、原則として認められないと解されています。
サンケイ新聞事件
サンケイ新聞事件では、新聞に掲載された意見広告によって名誉を毀損されたとして、無料で反論文を掲載するよう求められました。最高裁判所は、反論権の制度は新聞などの表現の自由に重大な影響を与えるため、具体的な成文法がないのに反論文掲載請求権を容易に認めることはできないと判断しました。
この判例は、特別の法律がない限り、反論文掲載請求権を具体的な権利として認めることはできないとしたものです。なお、不法行為が成立する場合の保護については、反論権とは別に考える必要があります。
まとめ
アクセス権とは、国民がマスメディアを利用して意見を表明することを求める考え方です。反論権や意見広告掲載請求権が代表例ですが、マスメディアの表現の自由との関係から、特別の法律がなければ掲載を強制できる具体的な権利とは認められません。サンケイ新聞事件でも、具体的な成文法がないことを理由に反論文掲載請求権は認められませんでした。
