憲法前文の法的効力とは?法規範性と裁判規範性を解説

憲法前文は、憲法典の一部であり、法規範性を有します。

ただし、前文を直接の根拠として裁判所に救済を求めることができるかという裁判規範性については、通説・高等裁判所の判決では否定されています。つまり、「法規範性があること」と「前文を直接の根拠として裁判所に救済を求められること」は、別に考える必要があります。

憲法前文は法規範性を有する

憲法前文は憲法典の一部である

憲法前文は、憲法典の一部を構成しています。そのため、憲法本文の各条項と同様に法規範性を有すると解されています。

憲法改正手続によらなければ改正できない

前文も憲法の一部であるため、憲法改正手続によらなければ改正することができません。

裁判規範性とは何か

裁判規範性の意味

裁判規範性とは、前文を直接の根拠として、裁判所に救済を求めることができるかという性質をいいます。

前文に法規範性があるからといって、前文を直接の根拠として当然に裁判所に救済を求められるとは限りません。法規範性と裁判規範性は、別の問題です。

前文の裁判規範性についての考え方

前文の裁判規範性については、地方裁判所の判決で肯定された例があります。長沼事件の第1審判決(札幌地判昭48・9・7)がその一例です。

もっとも、通説・高等裁判所の判決では、前文の裁判規範性を否定しています。長沼事件の第2審判決(札幌高判昭51・8・5)も、その例です。

憲法前文の法的効力に関する結論

憲法前文は憲法典の一部であり、憲法本文の各条項と同様に法規範性を有します。また、前文を改正するには憲法改正手続が必要です。

一方、前文を直接の根拠として裁判所に救済を求められるかについては、地方裁判所の判決で肯定された例があるものの、通説・高等裁判所の判決では否定されています。したがって、憲法前文の法的効力は、「法規範性はあるが、裁判規範性については否定されている」と整理するのが基本です。

まとめ

  • 憲法前文は憲法の一部であり、法規範性を持つ
  • 前文の改正には憲法改正手続が必要である
  • 裁判規範性については地方裁判所に肯定例がある
  • 通説・高等裁判所の判決は、前文の裁判規範性を否定している
  • 法規範性と裁判規範性は別の概念である