オービスによる顔写真の撮影は違法?憲法13条との関係を判例で解説

オービスによって速度違反時の運転者の顔写真が撮影されることについて、「本人の同意がない撮影は違法ではないのか」「憲法13条に反しないのか」と疑問に感じる方もいるでしょう。

結論として、最高裁判所は、一定の条件を満たすオービスによる撮影は、憲法13条に違反しないと判断しています。ただし、顔写真であれば無条件に撮影できるという意味ではありません。撮影の必要性や緊急性、方法の相当性が重要です。

オービスによる顔写真の撮影は、一定の条件を満たせば違法ではない

憲法13条は、無断で容ぼうを撮影されない自由を保障している

憲法13条は、個人の私生活上の自由が公権力の行使に対して保護されるべきことを規定しています。その具体的な内容の一つとして、何人も、承諾なしに、みだりに容ぼうや姿態を撮影されない自由を有するとされています。この自由を「肖像権」と称するかどうかは別として、正当な理由のない撮影は、憲法13条の趣旨に反し許されません。

ただし、犯罪捜査のための撮影まで一律に禁止されるわけではない

この自由も、公共の福祉のために必要な場合には、相当な制限を受けます。犯罪の証拠を保全する必要性や緊急性があり、撮影方法が相当であれば、本人の同意や裁判官の令状がなくても、撮影が許されることがあります。

オービス撮影事件で最高裁が示した判断

最高裁は、速度違反車両の自動撮影を憲法13条違反ではないと判断した

最高裁判所は、オービス撮影事件(最高裁昭和61年2月14日判決)で、速度違反車両を自動撮影する装置によって運転者の容ぼうが撮影された事案を判断しました。

最高裁は、次の事情を踏まえ、運転者の容ぼうを撮影しても憲法13条に違反しないとしました。

  • 現に速度違反が行われていること
  • その犯罪の性質や態様から、緊急に証拠を保全する必要があること
  • 撮影方法が、一般的に許容される限度を超えない相当なものであること

同乗者の顔が写り込んでも、直ちに違法とはならない

撮影時に運転者の近くにいる同乗者の容ぼうが、画像に写り込むこともあります。最高裁は、同乗者が撮影対象から除外できない状況にある場合、その撮影も憲法13条に違反しないと判断しています。

つまり、撮影された人物が運転者か同乗者かだけで結論が決まるのではありません。犯罪の証拠を保全する必要性・緊急性があり、撮影方法も相当であったかが判断のポイントになります。

オービス撮影が許されるかを判断するポイント

オービスによる撮影は、顔写真を撮影したという事実だけで違法になるわけではありません。判例上は、次の3点が重要です。

  1. 現に速度違反が行われていたか
  2. 速度違反の性質や態様から、緊急に証拠を保全する必要があったか
  3. 撮影方法が一般的に許容される相当な方法であったか

これらを満たす場合、運転者や、撮影対象から除外できない状況にある同乗者の同意がなくても、憲法13条違反とはなりません。一方、必要性や方法の相当性を欠く撮影まで、当然に許されるわけではありません。

まとめ

  • 憲法13条は、本人の承諾なく、みだりに容ぼうを撮影されない自由を保障しています。
  • しかし、速度違反の証拠を確保するオービス撮影は、一定の条件を満たせば許されます。
  • 現に速度違反があり、その性質や態様から緊急の証拠保全の必要性があり、撮影方法も相当であれば、運転者の容ぼうの撮影は憲法13条に違反しません。
  • 同乗者の容ぼうが写り込んだ場合も、撮影対象から除外できない状況であれば、直ちに違法とはなりません。