刑事補償請求権とは?無罪判決を受けた場合の補償を解説

刑事事件で抑留や拘禁を受けた後、無罪判決を受けた場合、国に補償を求められることがあります。この権利を刑事補償請求権といい、憲法40条が保障しています。

刑事補償請求権とは

憲法40条が保障する国への補償請求権

憲法40条は、「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる」と定めています。

つまり、刑事手続で身体を拘束された人が、無罪の裁判を受けた場合に、国へ補償を請求できる制度です。刑事補償請求権は、国に対して積極的な行為を要求する受益権(国務請求権)の一つです。

国の故意・過失は要件ではない

刑事補償は、捜査機関や裁判所に故意・過失があったことを前提としません。抑留や拘禁が適法に行われていた場合でも、法律上の要件を満たせば補償の対象となり得ます。

この点で、国又は公共団体の不法行為によって生じた損害の賠償を求める国家賠償とは性質が異なります。

刑事補償を請求できる要件

抑留または拘禁の後に無罪の裁判を受けたこと

基本的な要件は、次の2つです。

  1. 抑留または拘禁を受けたこと
  2. その後、無罪の裁判を受けたこと

抑留とは身体を一時的に拘束すること、拘禁とは継続的に身体を拘束することをいいます。

「無罪の裁判」は刑事訴訟法上の無罪の確定判決

憲法40条の「無罪の裁判」とは、刑事訴訟法上の手続における無罪の確定判決をいいます。

一方、少年法の少年審判手続における不処分決定は、憲法40条の「無罪の裁判」には当たりません。したがって、少年審判の不処分決定と、刑事裁判における無罪の確定判決は区別する必要があります。

刑事補償と国家賠償の違い

刑事補償は適法な身体拘束でも対象となり得る

刑事補償では、身体拘束が違法だったことや、国に故意・過失があったことは要件とされません。適法な行為による場合であっても、無罪の確定判決などの条件を満たせば補償の対象となり得ます。

国家賠償は公務員の不法行為が前提

国家賠償は、公務員の不法行為によって損害を受けた場合に、国や公共団体へ賠償を求める制度です。これに対し、刑事補償は、国の故意・過失を問わず補償する制度です。

まとめ

  • 刑事補償請求権は、憲法40条が保障する国への補償請求権です。
  • 抑留または拘禁の後に、無罪の確定判決を受けた場合が基本的な対象です。
  • 国の故意・過失や身体拘束の違法性は、刑事補償の要件ではありません。
  • 少年審判の不処分決定は、憲法40条の「無罪の裁判」には当たりません。
  • 国家賠償は公務員の不法行為を前提とする点で、刑事補償とは異なります。