違憲審査権とは、法律や命令などが憲法に違反していないかを裁判所が判断する権限です。ただし、日本の裁判所は、具体的な事件と関係なく、法令等の合憲性だけを一般的に判断することはできません。
違憲審査権とは
法令などが憲法に適合するかを判断する権限
憲法81条は、最高裁判所を「一切の法律、命令、規則又は処分」が憲法に適合するかどうかを決定する終審裁判所と定めています。終審裁判所とは、違憲審査について最終的な判断を示す裁判所という意味です。
違憲審査の対象には、主に次のものが含まれます。
- 法律
- 命令
- 規則
- 行政機関などによる処分
- 条例
条例についても、地方公共団体が制定する法規であり、違憲審査の対象に含まれます(憲法94条)。
下級裁判所も違憲審査を行える
憲法81条は最高裁判所を終審裁判所としていますが、違憲審査権を最高裁判所だけに認めているわけではありません。下級裁判所も、担当する事件を解決するために必要な範囲で、法律や条例などが憲法に適合するかを判断できます。
日本が採用する付随的違憲審査制とは
具体的な事件の解決に必要な範囲で審査する制度
日本は、判例・通説上、付随的違憲審査制を採用しています。これは、裁判所が違憲性だけを独立して審査するのではなく、具体的な事件を解決するために必要な限度で法令等の合憲性を判断する仕組みです。
したがって、具体的な事件と関係なく、「この法律は違憲か」という問題だけを裁判所が判断することはできません。
抽象的違憲審査制との違い
- 付随的違憲審査制:具体的な事件の解決に伴って、必要な範囲で違憲審査を行う。
- 抽象的違憲審査制:具体的な事件がなくても、法令等の合憲性を一般的・抽象的に審査・決定する。
日本では、後者ではなく前者が採用されています。
付随的違憲審査制と具体的事件の関係
裁判の前提となる具体的事件
裁判所が扱えるのは、当事者間の具体的な権利義務や法律関係の存否をめぐる紛争であり、法令を適用することで終局的に解決できるものです。これは、裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たります。
違憲判断が事件の解決に必要であること
違憲審査は、具体的な事件の結論に影響するなど、その事件を解決するために必要な場合に行われます。
一方、法令等の合憲性が事件の結論に影響しない場合、裁判所はその点を一般論として判断しません。つまり、違憲審査は常に具体的な事件を解決するための判断として行われるのです。
まとめ
違憲審査権とは、法律・命令・規則・処分・条例などが憲法に適合するかを裁判所が判断する権限です。最高裁判所は終審裁判所ですが、下級裁判所も必要な範囲で審査できます。
日本の制度は付随的違憲審査制であり、具体的な事件と無関係に、法令等の合憲性だけを一般的に判断することはできません。
