養子縁組の無効と取消しの違いとは?原因や請求期間を解説

養子縁組の「無効」と「取消し」は、どちらも縁組に問題がある場合の制度ですが、法律上の扱いは異なります。無効は、縁組の成立時から効力が認められないことです。一方、取消しは、直ちに無効とはならず、一定の者が家庭裁判所に請求することで、将来に向かって縁組の効力を消滅させる制度です。

養子縁組の「無効」と「取消し」の違い

無効とは

縁組意思がない、または原則として縁組の届出がないなど、民法802条に定める事由がある場合です。無効の場合、取消権者が請求して初めて効力がなくなるわけではありません。

取消しとは

年齢や同意、家庭裁判所の許可などの要件に違反していても、直ちに無効とはならない場合があります。この場合、法律が定める者が家庭裁判所に取消しを請求します。縁組が取り消されると、原則として将来に向かってのみ、縁組の効力が消滅します。

項目 無効 取消し
効力 成立時から効力が認められない 取消しまで効力がある
原因 縁組意思の欠如、届出の欠缺など 年齢、同意・許可の欠缺、詐欺・強迫など
手続 取消権者による取消請求は不要 取消権者が家庭裁判所に請求

たとえば、当事者の一方に真に養親子関係を成立させる意思がない場合は、縁組が無効となります。一方、未成年者を養子にする際に必要な家庭裁判所の許可を欠いていた場合は、直ちに無効ではなく、取消しの問題となることがあります。

養子縁組が無効になる原因

当事者間に縁組意思がない場合

人違いその他の事由により、当事者間に縁組をする意思がないときは、縁組は無効です。当事者の一方が真に養親子関係の設定を望んでいない場合も、縁組は無効となります。

原則として、縁組の届出がない場合

縁組は、戸籍法の定めるところにより届け出ることで効力が生じます。そのため、原則として、当事者が縁組の届出をしていない場合は、縁組は無効です。

養子縁組の取消原因と請求期間

取消しは、取消権者が家庭裁判所に請求して行います。取消原因ごとの取消権者と期間は、次のとおりです。

取消原因 取消権者 取消期間
養親が20歳未満の者である縁組 養親またはその法定代理人 養親が20歳に達した後6か月を経過し、または追認するまで
養子が尊属または年長者である縁組 養親、養子またはその親族 期間制限なし
後見人と被後見人との間の無許可の縁組 養子またはその実方の親族 管理の計算が終了した後6か月を経過し、または養子が追認するまで
配偶者の同意のない縁組 縁組に同意していない者 縁組を知った後6か月を経過し、または追認するまで
配偶者の同意を詐欺・強迫によってした場合 詐欺・強迫によって同意した者 詐欺を発見し、または強迫を免れた後6か月を経過し、または追認するまで
監護者の同意のない縁組 同意していない監護者 同意権者が追認したとき、または養子が15歳に達した後6か月を経過したとき、または追認するまで
監護者の同意を詐欺・強迫によってした場合 詐欺・強迫によって同意した者 詐欺を発見し、または強迫を免れた後6か月を経過し、または追認するまで
養子が未成年者である場合の無許可の縁組 養子、その実方の親族、養子に代わって縁組の承諾をした者 養子が成年に達して6か月が経過し、または追認するまで
詐欺・強迫による縁組 詐欺・強迫によって縁組した者 詐欺を発見し、または強迫を免れた後6か月を経過し、または追認するまで

取消期間は、取消原因によって起算点や期間が異なります。養親や養子の年齢、家庭裁判所の許可、配偶者や監護者の同意の有無などを確認する必要があります。