行政作用法の分類とは?行政行為・行政立法・行政指導などを整理

行政の活動は、国民に命令することだけではありません。法律の細部を定めたり、行政上の目標を計画したり、契約や助言によって目的を実現したりします。こうした行政の活動を形式ごとに整理するのが、行政作用法の分類です。

行政作用法の分類は「行政が何をするか」で整理する

伝統的には、国会が法律を制定し、行政庁がその法律に基づいて国民に命令し、命令に従わない場合には強制措置を行うという流れで説明されていました。このうち、行政庁が法律に基づいて個別具体的な命令などをする行為が行政行為です。

しかし、現代の行政活動はより多様です。行政作用は、主に次のように分類できます。

  • 法律の内容を具体化する行政立法
  • 行政上の目標や手段を定める行政計画
  • 契約によって行政目的を実現する行政契約
  • 助言や勧告によって協力を求める行政指導
  • 氏名の公表など、強制措置よりも緩やかな確保措置

行政行為以外の行政作用には5つの種類がある

行政立法

行政立法とは、行政機関が法律に基づき、法律の細かな基準や専門技術的な事項を定めることです。法律の制定は国会が行いますが、すべてを法律に書くことは難しいため、政令などによって内容を具体化する場合があります。行政手続法には、命令を制定する際のルールが定められています。

行政計画

行政計画とは、一定の公共目的を達成するために、行政上の目標と、そのための手段を示すものです。都市計画などが代表的で、法律の制定後だけでなく、法律が作られる前に行政上の方向性を示すため策定されることもあります。

行政契約

行政契約は、行政と私人などが原則として対等な立場で合意し、行政目的を実現する仕組みです。一方的な命令である行政行為とは異なります。ただし、行政活動には公共性が求められるため、私人間の契約とまったく同じに扱われるとは限りません。

行政指導

行政指導とは、行政機関が助言・勧告などによって、相手方に任意の協力を求めるものです。行政行為のような法的強制力はなく、従わないことだけを理由に、原則として強制措置や罰則を科すことはできません。強制力がないため、必ずしも法律の根拠がなくても行うことができます。行政手続法には、行政指導の定義や実施上のルールが定められています。

緩やかな確保措置

緩やかな確保措置とは、強制執行や刑罰以外の方法で行政目的を実現しようとするものです。違反者の氏名公表や、行政サービスの提供拒否などが挙げられます。

行政行為とは何か:行政作用の中心となる一方的な法的行為

行政行為とは、行政庁が法律に基づき、特定の相手に対して一方的に法的効果を発生させる行為です。行政行為に当たるには、一般に次の特徴があります。

  1. 行政庁による行為であること
  2. 国民に対する対外的な行為であること
  3. 特定の人や具体的な事案を対象とすること
  4. 当事者の合意ではなく、一方的に行われること
  5. 権利義務を発生させたり、その範囲を確定したりすること

したがって、行政組織内部の人事上の措置や、法的効果を伴わない単なる助言は、通常、行政行為には含まれません。行政行為には、営業を認める許可のように利益を与えるものと、一定の義務を命じるものの両方があります。

行政行為には特別な効力がある

行政行為には、一般に公定力、不可争力、不可変更力、自力執行力という効力が認められています。

  • 公定力:行政行為に違法性があっても、重大かつ明白な瑕疵により無効となる場合を除き、権限のある行政機関や裁判所によって取り消されるまでは、その効力を否定できないとされる効力
  • 不可争力:一定期間が経過すると、相手方などが行政行為の違法性を争えなくなる効力
  • 不可変更力:審査請求に対する裁決など、厳格な手続で行われた行政行為について、行政庁が自ら取消しや変更をできない効力
  • 自力執行力:行政行為によって命じられた義務が履行されない場合に、法律上の根拠があるとき、裁判所の判断を待たずに内容を強制的に実現できる効力

行政行為は「命令的行為」と「形成的行為」に分類される

命令的行為:義務を課したり、禁止を解除したりする行為

命令的行為は、国民に一定の行為をする義務を命じたり、すでに課されている義務を解除したりする行為です。代表例が許可で、一般的に禁止されている行為を、要件を満たした特定の者について認めるものです。許可を受けずに行った行為は、原則として直ちに無効になるわけではありませんが、無許可行為に対して罰則などが定められることがあります。

確認も命令的行為に含めて整理されます。確認は、定められた要件を満たしているかを公的に判断する行為で、許可より行政庁の裁量が狭いのが一般的です。建築確認は、裁量の余地のない確認的行為の例とされています。

形成的行為:新しい権利や法律上の効果を発生させる行為

形成的行為は、国民がもともと持っていない権利などを新たに与えたり、私人間の法律関係を完成させたりする行為です。

  • 特許:私人には本来認められていない権利などを、特定の者に新たに設定する行為
  • 認可:私人間で行われた契約などを補充し、法律上の効果を完成させる行為

許可は一般的禁止の解除であるため、行政庁の裁量は比較的狭いとされます。一方、特許は新たな権利を設定するため、裁量の幅が広くなりやすい点が違いです。また、認可は私人間の法律行為を前提とするため、行政庁が当事者となって一方的に権利を与える特許とは性質が異なります。

許可を受けずに行った行為は原則として有効ですが、特許を受けずに行った行為は、そもそもその行為を行うことができないため、無効と解されます。認可を受けない私人間の法律行為も、法律上の効果を生じません。