法律の留保の原則とは?行政活動に法律の根拠が必要な範囲を解説

行政は、住民へのサービスだけでなく、税金の徴収や国民の権利・利益に関わる活動も行います。このような行政活動について、法律の根拠が必要となる範囲が問題となります。

法律の留保の原則とは

法律の留保の原則とは、一定の行政活動を行うには、法律の根拠が必要であるという原則です。行政が法律の根拠なしに、国民へ義務を課したり、権利を侵害したりすることは認められません。

ここでいう法律は、形式的に存在するだけのものではなく、憲法の考え方に合致した実質的な意味を持つ法律を指します。

法律の優位の原則との違い

  • 法律の留保の原則:一定の行政活動を行うために、法律の根拠が必要かを問題にする。
  • 法律の優位の原則:行政活動が、存在する法律の定めに違反していないかを問題にする。

法律の留保の原則は、法律の根拠がない場合の行政活動に関する原則です。これに対して、法律の優位の原則は、法律が制定されている場合に、行政がその法律に違反して活動できるかを問題とします。

法律の根拠が必要となる行政活動の範囲

法律の留保の原則は、行政活動のすべてに法律の根拠を求めるものなのかが問題になります。主な考え方は次のとおりです。

  • 侵害留保説:国民に義務を課したり、権利を侵害したりする行政活動について、法律の根拠が必要とする説です。伝統的な通説とされています。
  • 全部留保説:行政のあらゆる活動について、法律の根拠が必要とする説です。
  • 権力留保説:侵害留保説の範囲にとどまらず、公権力を行使する部分についても法律の根拠を求める説です。
  • 本質留保説:侵害留保説の範囲にとどまらず、国民の本質的な事項に関わる部分についても法律の根拠を求める説です。

具体例で理解する

たとえば、自治体が法律の制定されていない範囲で、ある税金を創設して住民に課すことはできるでしょうか。

税金を課すという重要な事項について、法律の根拠もなく行政の都合で定めることはできません。この場合、国会において事前に法律を制定してもらい、その根拠を得る必要があります。

一方、法律の留保の原則の対象となるのは「一定」の行政活動であり、行政活動のすべてについて法律の根拠が必要となるわけではありません。どの範囲に法律の根拠が必要かについては、学説上の争いがあります。

まとめ

法律の留保の原則とは、一定の行政活動に法律の根拠を要求する原則です。特に、国民に義務を課したり、権利を侵害したりする活動には、法律の根拠が必要です。その範囲については複数の学説がありますが、伝統的な通説は侵害留保説です。