行政の処分に納得できないときは、行政訴訟や行政不服申立てによって、行政活動の是正を求めることができます。両制度は、判断する機関や対象となる行政活動の捉え方が異なります。
行政訴訟と行政不服申立ての基本
行政訴訟とは
行政訴訟は、行政の活動が違法であるとして、裁判所に判断を求める手続です。裁判所が審理し、認められた場合には判決によって行政活動の是正を求めます。一般法は「行政事件訴訟法」です。
行政不服申立てとは
行政不服申立ては、行政庁の処分などについて、行政機関に不服を申し立て、行政機関の判断によって是正を求める制度です。違法な場合だけでなく、違法ではなくても判断が妥当でないという不当な場合も対象になります。一般法は「行政不服審査法」です。
行政不服申立てには、審査請求、再調査の請求、再審査請求があります。ただし、再調査の請求や再審査請求は、法律に認める規定がある場合に限って利用できます。そのため、基本的には審査請求に一元化されています。
行政訴訟と行政不服申立ての違い
| 項目 | 行政訴訟 | 行政不服申立て |
|---|---|---|
| 判断する機関 | 裁判所 | 行政庁または行政機関 |
| 判断の形式 | 判決 | 裁決など |
| 対象 | 違法な行政活動 | 違法または不当な行政活動 |
| 根拠法 | 行政事件訴訟法 | 行政不服審査法 |
行政不服申立てでは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為が問題となります。また、法令に基づく申請に対して何らの処分もしない「不作為」も対象です。
両制度は自由に選べるのか
原則:自由選択主義
行政訴訟と行政不服申立ては、原則としてどちらを利用するか選択できます。先に審査請求をせず行政訴訟を提起することも、行政不服申立てによる是正を求めることも、基本的には可能です。この原則を自由選択主義といいます。
例外:審査請求前置主義
ただし、個別の法律に特別な定めがある場合は、先に審査請求を行い、裁決を経なければ行政訴訟を提起できないことがあります。これが審査請求前置主義です。
したがって、手続を選ぶ際は、対象となる処分について審査請求前置の規定があるかを確認する必要があります。
まとめ
- 行政訴訟は、裁判所に違法な行政活動の是正を求める制度
- 行政不服申立ては、行政機関に違法・不当な行政活動の是正を求める制度
- 原則は、両制度を自由に選べる自由選択主義
- 例外として、先に審査請求が必要な審査請求前置主義がある
