行政行為に法律上の瑕疵があっても、相手方や第三者の利益、法的安定性などを考慮し、その効力を維持することが望ましい場合があります。こうした場面で問題となるのが違法行為の転換です。この記事では、その意味や「瑕疵の治癒」との違い、代表的な判例を解説します。
違法行為の転換とは
行政行為に瑕疵がある場合の考え方
行政行為に法律違反などの問題がある場合、その問題を瑕疵(かし)といいます。
違法行為の転換とは、瑕疵のある行政行為を、別の行政行為としてみた場合に、それが有効であると扱う考え方です。
違法な行政行為であっても、行政行為には公定力があるため、原則として権限のある行政機関や裁判所により取り消されるまでは、一応有効なものとして扱われます。違法行為の転換は、瑕疵のある行政行為について、別の行政行為として有効と認められるかを検討するものです。
違法行為の転換と瑕疵の治癒の違い
両者は、瑕疵のある行政行為の効力を維持することが望ましい場合に問題となりますが、仕組みが異なります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 瑕疵の治癒 | 瑕疵が軽微な行政行為について、後から是正することにより、その効力を維持する考え方 |
| 違法行為の転換 | 瑕疵のある行政行為を、別の行政行為としてみた場合に、その効力を認める考え方 |
つまり、瑕疵の治癒は行政行為の瑕疵を後から是正する考え方であり、違法行為の転換は、別の行政行為として有効と扱う考え方です。
違法行為の転換が認められた判例
農地買収計画に関する最高裁大法廷判決
最高裁大法廷昭和29年7月19日判決は、農地買収処分について、違法行為の転換を認めました。
この判例では、自作農創設特別措置法施行令43条により定めた農地買収計画は違法となるものの、同法施行令45条を適用すると、当該農地買収計画が適法となるとして、違法行為の転換を認めています。
判例から分かるポイント
- 元の行政行為に瑕疵があること
- その行政行為を別の行政行為としてみることができること
- 別の行政行為としてみた場合に、有効と認められること
このように、違法行為の転換は、瑕疵のある行政行為を別の行政行為としてみた場合に、その効力を認める考え方です。
まとめ
違法行為の転換とは、瑕疵のある行政行為を別の行政行為としてみた場合に、それが有効であると扱う考え方です。軽微な瑕疵を後から是正して効力を維持する「瑕疵の治癒」とは異なります。農地買収計画に関する最高裁判例では、自作農創設特別措置法施行令43条では違法となる農地買収計画について、同法施行令45条を適用すれば適法となるとして、転換が認められました。
