行政行為の附款とは
附款の意味
行政行為の附款とは、行政行為の効果を制限したり、特別な義務を課したりするために、主たる意思表示に付加される従たる意思表示をいいます。
附款の4種類
- 条件
- 期限
- 負担
- 撤回権の留保
条件と期限は行政行為の法律効果の発生・消滅に関係し、負担は行政行為の相手方に特別の義務を課すものです。撤回権の留保は、特定の場合に行政行為を撤回することを留保するものです。
行政行為の附款4種類と具体例
条件|不確実な事実によって法律効果を左右する附款
条件とは、行政行為の法律効果の発生・消滅を、発生不確実な事実にかからせるものをいいます。意味内容としては、民法の条件と同じです。
例えば、運転免許の際に、眼鏡を使用することを条件とする場合があります。ただし、この条件は、眼鏡を使用しなければならないという義務を課すことから、行政行為の附款の分類では負担に該当します。
期限|確実な事実によって法律効果を左右する附款
期限とは、行政行為の法律効果の発生・消滅を、発生確実な事実にかからせるものをいいます。意味内容としては、民法の期限と同じです。
負担|行政行為の相手方に特別な義務を課す附款
負担とは、行政行為の相手方に対して、特別の義務を課すことです。例えば、道路を使用させる場合に、特別の義務としてその占用料を徴収することがあげられます。
条件と期限は、本体の行政行為と一体をなすものです。一方、負担の場合は、義務に違反したとしても、本体の行政行為の効力に影響を及ぼさず、原則として行政行為自体の違法性の問題も生じません。
しかし、負担をしない場合には、本体の行政行為が撤回されたり、罰などが科されたりする場合があります。さらに、負担という義務を果たさないことから、行政上の強制執行が行われる可能性もあります。
なお、負担は作為義務だけでなく、不作為義務として課すこともできます。
撤回権の留保|特定の場合に行政行為を撤回する附款
撤回権の留保とは、主たる行政行為に付随して、特定の場合に行政行為を撤回することを留保するものです。
例えば、営業の許可をするにあたり、公益上の必要がある場合にはその許可を取り消すことができるとする場合があげられます。
その他にも、行政行為をするにあたって法令が一般に付与した法律効果を発生させないという趣旨の「法律効果の一部除外」という附款もあります。
行政行為に附款を付けられる場合と限界
附款を付けられる場合
附款は主たる行政行為に影響を与えるため、原則として、法令に附款を付けることができるという明文の規定が必要です。ただし、法令にそのような明文の規定がない場合でも、行政庁に行政裁量が認められるときには、附款を付けることができると解されます。
附款の限界
附款を付けることができる場合でも、制限なく認められるわけではありません。本体となる行政行為の目的の範囲内でなければなりません。
違法な附款と本体の行政行為との関係
附款が違法で、当該附款が本体となる行政行為の重要な要素となっている場合には、附款だけでなく、本体の行政行為自体にも違法性の問題が生じます。この場合には、本体の行政行為と附款を一体として、その取消しを求めることになると解されます。
一方、附款が本体となる行政行為の重要な要素となっていない場合には、本体となる行政行為から附款が切り離され、附款だけについて違法性の問題を検討することになります。
まとめ
行政行為の附款とは、行政行為の効果を制限したり、相手方に特別な義務を課したりするために、主たる意思表示に付加される従たる意思表示です。主な種類は、条件・期限・負担・撤回権の留保です。
条件は発生不確実な事実、期限は発生確実な事実に法律効果をかからせます。負担は相手方に特別の義務を課すもので、違反しても原則として本体の行政行為の効力には影響しません。附款は、法令上の明文の規定または行政裁量がある場合に、本体の行政行為の目的の範囲内で付けられます。
