地方公共団体の損失補償契約は有効?公益上の必要性と裁量を解説

地方公共団体が、金融機関など第三者に生じた損失を補償する契約を締結することがあります。このような契約は、私人同士の契約と同じように自由に認められるわけではありません。

もっとも、地方公共団体が損失を補償する契約だからといって、直ちに無効になるわけでもありません。重要なのは、契約を締結する公益上の必要性があるか、そして判断に裁量権の逸脱・濫用がないかです。

地方公共団体の損失補償契約とは

損失補償契約の基本的な仕組み

損失補償契約とは、地方公共団体が、第三者に生じた損失を補償する契約です。

典型的には、地方公共団体が過半を出資して設立した株式会社が金融機関から融資を受ける際、金融機関に生じた損失を地方公共団体が補償する内容の契約が挙げられます。

私人間の契約との違い

私人同士であれば、契約自由の原則が妥当するため、第三者の損失を補償する契約を締結すること自体に問題はありません。

一方、地方公共団体が締結する損失補償契約については、契約の締結に係る公益上の必要性が問題となります。

損失補償契約は原則として当然に無効ではない

公益上の必要性と裁量の適否で判断される

損失補償契約の有効性は、契約の締結に係る公益上の必要性に関する地方公共団体の執行機関の判断に、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があったかどうかによって判断されます。

つまり、損失補償契約であるという形式だけを理由に、直ちに無効となるわけではありません。契約締結に関する判断について、裁量権の逸脱または濫用があったかどうかが重要になります。

公益上の必要性を判断する際の考え方

損失補償契約の締結にあたっては、公益上の必要性があるかどうかが問題となります。執行機関には一定の判断裁量が認められますが、裁量権の範囲を逸脱したり、これを濫用したりした場合には、契約の有効性が問題となります。

判例が示した有効性の判断基準

最高裁平成23年10月27日判決

地方公共団体が過半を出資して設立した株式会社が金融機関から融資を受ける際、金融機関に生じた損失を地方公共団体が補償する契約が問題となった事案で、最高裁は、契約の締結に係る公益上の必要性に関する地方公共団体の執行機関の判断に、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があったか否かによって判断すべきとしました。

この判例からは、損失補償契約の有効性について、契約の締結に係る公益上の必要性と、執行機関の判断における裁量権の逸脱・濫用の有無が判断基準となることが分かります。

結論:公益上の必要性と裁量判断がポイント

地方公共団体の損失補償契約は、一律に無効ではありません。公益上の必要性に関する執行機関の判断に、裁量権の逸脱またはその濫用がなかったかどうかによって、有効性が判断されます。

まとめ

  • 損失補償契約は、地方公共団体が第三者に生じた損失を補償する契約です。
  • 私人間の契約とは異なり、契約の締結に係る公益上の必要性が問題となります。
  • 損失補償契約であることだけで、当然に無効となるわけではありません。
  • 有効性は、公益上の必要性に関する執行機関の判断に、裁量権の逸脱・濫用があったかによって判断されます。