行政行為の不可変更力とは?不可争力との違いをわかりやすく解説

行政行為には、行政庁や関係者を拘束するさまざまな効力があります。なかでも不可変更力と不可争力は名称が似ていますが、拘束される主体が異なります。

行政行為の不可変更力とは

行政庁が自ら取消し・変更できなくなる効力

不可変更力とは、いったん行われた行政行為について、行政庁自身が後から取り消したり、内容を変更したりできなくなる効力です。

重要なのは、不可変更力が主に行政庁を拘束する効力だという点です。行政行為を受けた相手方や関係人の争う権利を直接制限するものではありません。

不可変更力が認められる行政行為

すべての行政行為に不可変更力が認められるわけではありません。通常の行政行為については、原則として、行政庁は職権で自らの判断を取り消したり変更したりできます。

これに対し、行政不服審査法に基づく審査請求に対する裁決のように、当事者を手続に関与させ、裁判手続に準じた厳格な手続で紛争の最終的な解決を目指すものには、例外的に不可変更力が認められます。

このような裁決が確定すると、原則として行政庁もその裁決を取り消したり変更したりできません。ただし、特別の規定がある場合は別です。

不可争力との違い

不可争力は相手方などが争えなくなる効力

不可争力とは、一定期間が経過した後、行政行為の相手方やその他の関係人が、その行政行為に違法性があるとして争えなくなる効力です。法律関係をいつまでも不安定な状態にしないために認められます。

不可争力は、形式的確定力とも呼ばれます。

行政庁を拘束するかどうかが最大の違い

効力 拘束される主体 内容
不可変更力 行政庁 行政庁が自ら取消し・変更できなくなる
不可争力 相手方・関係人 一定期間の経過後、行政行為を争えなくなる

たとえば、通常の許可処分について争う期間が過ぎても、行政庁まで変更できなくなるわけではありません。不可争力が生じた後でも、行政庁が職権でその処分を取り消したり変更したりすることは可能です。

一方、審査請求に対する裁決のように不可変更力が認められる場合は、行政庁自身が原則として取消し・変更できません。

不可争力が生じる期間との関係

行政行為を争うための期間には制限があります。審査請求は、原則として処分を知った日の翌日から3か月以内、取消訴訟は、原則として処分があったことを知った日から6か月以内に提起しなければなりません。

このような期間を経過するなどして、相手方や関係人が行政行為を争えなくなるのが不可争力の基本的な意味です。したがって、不可争力が生じたから行政庁も変更できないと考えるのは誤りです。

まとめ

  • 不可変更力は、行政庁が行政行為を自ら取り消し・変更できなくなる効力
  • 審査請求に対する裁決など、厳格な手続で紛争を解決する行為に例外的に認められる
  • 不可争力は、相手方や関係人が一定期間の経過後に行政行為を争えなくなる効力
  • 行政庁を拘束するのが不可変更力、相手方などを拘束するのが不可争力と整理すると区別しやすい