地方公共団体の処分・行政指導に行政手続法は適用される?適用除外と行政手続条例を解説

地方公共団体の機関も、行政手続法上の「行政機関」に含まれます。そのため、地方公共団体の処分や行政指導がすべて行政手続法の対象外となるわけではありません。

ただし、地方公共団体の機関が行う一定の処分・届出・行政指導などについては、行政手続法第2章から第6章までの規定が適用除外となります。この場合、各地方公共団体が定める行政手続条例などによって手続のルールが整備されます。

地方公共団体に行政手続法が適用される範囲

地方公共団体の機関も「行政機関」に含まれる

行政手続法上の行政機関には、国の行政機関だけでなく、地方公共団体の機関も含まれます。ただし、地方公共団体の議会は含まれません。

したがって、地方公共団体の長や委員会などが行う処分・行政指導については、行政手続法の適用対象となり得ます。

条例・規則を根拠とする処分などは主要規定が適用除外

地方公共団体の機関が行う次の行為については、行政手続法第2章から第6章までが適用されません。第1章の総則と第7章の補則は適用されます。

行為 適用関係
条例・規則を根拠とする処分 第2章~第6章が適用除外
条例・規則を根拠とする届出 第2章~第6章が適用除外
行政指導 根拠が法律・条例・規則のいずれでも適用除外
命令等を定める行為 根拠が法律・条例・規則のいずれでも適用除外

重要なのは、処分と届出は、根拠が条例または規則に置かれている場合に限って適用除外となる点です。一方、行政指導と命令等を定める行為は、根拠が法律に置かれている場合も適用除外となります。

地方公共団体の処分・行政指導が適用除外となる理由

処分・行政指導についての個別の適用除外

地方公共団体が行うかどうかにかかわらず、行政手続法第3条第1項により、申請に対する処分、不利益処分、行政指導、処分等の求めに関する規定が適用されない場合があります。

  • 国会の両院若しくは一院または議会の議決によってされる処分
  • 裁判所・裁判官の裁判または裁判の執行として行われる処分
  • 国会の両院若しくは一院または議会の議決を経て、またはこれらの同意・承認を得た上で行われる処分
  • 検査官会議で決すべき処分および会計検査の際にされる行政指導
  • 刑事事件、国税・地方税の犯則事件や金融商品取引の犯則事件に関する処分・行政指導
  • 学校、講習所、訓練所、研修所で教育・講習・訓練・研修の目的を達成するために行われる処分・行政指導
  • 刑務所、拘置所、少年院などで収容の目的を達成するために行われる処分・行政指導
  • 公務員または元公務員の職務・身分に関する処分・行政指導
  • 外国人の出入国、難民認定、補完的保護対象者の認定、帰化に関する処分・行政指導
  • 専ら人の学識・技能に関する試験や検定の結果についての処分
  • 相反する利害を有する者の間の利害調整を目的とする裁定など、その双方を名あて人とする処分・行政指導
  • 公衆衛生、環境保全、防疫、保安などに関する事象が発生し、または発生する可能性のある現場で行われる処分・行政指導
  • 報告や物件提出命令など、情報収集を直接の目的とする処分・行政指導
  • 審査請求などの不服申立てに対する裁決・決定
  • 不服申立てに対する処分の手続や、不利益処分における聴聞・弁明の機会の付与など、意見陳述のための手続において行われる処分・行政指導

これらは、刑事手続や不服申立てなど別の手続が用意されていること、教育・収容・緊急対応といった特殊性があることなどを理由とする適用除外です。

行政機関相互間の処分・行政指導など

行政機関相互間の処分、行政指導、届出も、行政手続法の適用除外です。ただし、処分については、行政機関や団体が固有の資格で名あて人となる場合に限られます。固有の資格とは、一般の私人には認められない特殊な立場をいいます。

行政手続条例との関係

地方公共団体は、行政手続法第2章から第6章までが適用されない処分、届出、行政指導、命令等を定める行為について、行政運営の公正と透明性を確保するため必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。

その具体的なルールが、地方公共団体ごとに定められる行政手続条例です。