即時強制とは、目前急迫の障害を除く必要があり、義務を命じる余裕がない場合に、行政機関が私人の身体や財産に直接実力を加え、行政上必要な状態を実現する作用です。
目的は、すでに命じた義務を履行させることではありません。緊急の行政上の必要を満たし、必要な状態を直ちに実現することにあります。
即時強制とは
義務を命じる余裕がない場合に行われる
通常であれば、行政機関は私人に義務を命じ、その履行を求めます。しかし、目前に危険や障害があり、義務を命じて履行を待つ余裕がないこともあります。このような場合に、行政機関が直接対応するのが即時強制です。
具体例
例えば、警察官職務執行法に基づく警察官の泥酔者の保護や、消防法に基づく火事の消火のための土地の使用があります。
これらは、まず私人に義務を命じ、その履行を待つのではなく、目前の危険や障害を除くために、私人の身体や財産に直接実力を加えるものです。目的も、義務の履行を強制することではなく、行政上必要な状態を実現することにあります。
即時強制と直接強制の違い
最も重要なのは「義務の履行が目的かどうか」
| 比較項目 | 即時強制 | 直接強制 |
|---|---|---|
| 目的 | 行政上必要な状態を実現する | 義務を履行させる |
| 事前の義務命令 | 義務を命じる余裕がない場合に行う | 履行すべき義務が前提となる |
| 位置付け | 行政上の強制執行とは別の強制手段 | 行政上の強制執行の一種 |
両者は、行政機関が私人の身体や財産に直接実力を加える点では共通します。しかし、即時強制は義務の履行を目的とせず、直接強制は義務の履行を目的とする点が異なります。
即時強制には法律上の根拠が必要
即時強制は、行政上の必要から、国民の身体や財産に直接実力を加える作用です。そのため、法律上の根拠が必要です。条例を根拠とすることも許されると解されています。
なお、即時強制には、その手続に関する通則的な規定のある法律は存在しません。
まとめ
- 即時強制は、目前急迫の障害を除くための行政作用である
- 義務を命じる余裕がない場合に行われる
- 直接強制との違いは、義務の履行を目的とするかどうかにある
- 身体や財産に直接実力を加えるため、法律上の根拠が必要である
