処分性とは?取消訴訟の対象となる行政処分の判断基準を解説

行政庁の行為に不服があっても、すべてを取消訴訟で争えるわけではありません。取消訴訟の対象は、原則として「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」です。

その行為が取消訴訟の対象になるかを判断する要件が処分性です。処分性が認められないと、裁判所は行為の違法性を判断する前に、訴えを不適法として却下します。

処分性とは、取消訴訟の対象となる行政庁の行為かどうかを判断する要件

処分性の意味

行政事件訴訟法3条2項は、取消訴訟の対象を「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」と定めています。

判例上、処分とは、国や地方公共団体が法令に基づいて行う行為のうち、その行為によって国民の権利義務を直接形成したり、その範囲を確定したりするものをいいます。

したがって、行為の名称ではなく、実質的にどのような法的効果が生じるかが重要です。

処分性が認められる典型例

  • 営業許可を取り消す行為
  • 営業許可の申請を拒否する行為
  • 違反建築物の除去を命じる行為
  • 法令に基づく給付の支給・不支給を決定する行為

これらは、法令に基づく公権力の行使によって、国民の権利義務を直接形成したり、その範囲を確定したりするため、処分性が認められます。

処分性を判断する4つの確認ポイント

  1. 法律に基づく行為か
  2. 国民に対して行われているか
  3. 国民に直接行われているか
  4. 国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定するか

処分性が原則として認められない行政庁の行為

私法上の行為・行政内部の行為

公共工事の請負契約のように、私人との合意を基礎とする私法上の行為には、原則として処分性が認められません。

また、行政機関同士の協議、通達、上級機関から下級機関への指示、行政機関内部の職務命令も、国民の権利義務に直接法的な効果を生じさせないため、原則として処分性は認められません。

行政立法・条例

不特定多数人を対象とする行政立法や、一般的な規範を定める条例は、個別の国民の権利義務に直接法的な効果を生じさせるものではないため、原則として処分性が認められません。

ただし、特定の保育所を廃止する条例のように、条例の施行だけで現に入所中の児童やその保護者という限られた特定の者の法的地位を奪い、別の行政庁の処分を待つ必要がない場合には、例外的に処分性が認められることがあります。

行政指導・事実行為

行政指導は法的な拘束力がないため、原則として処分性は認められません。公共工事の実施などの事実行為も、原則として同様です。

もっとも、改正前の医療法30条の7に基づく病院開設中止の勧告のように、行政指導であっても処分性が認められる場合があります。直接強制や即時強制のような権力的な事実行為も、処分性が肯定される可能性があります。

形式にかかわらず処分性が認められる場合

通知・勧告・申請への応答

「通知」と書かれていても、その行為によって相手方の権利義務が直接定められる場合には、処分性が認められることがあります。反対に、相手方の権利義務を直接定める行為とはいえない通知は、処分性が否定されます。

申請に対する支給・不支給の決定は、法令を根拠とする公権力の行使として一方的に行われ、申請者の権利に直接影響を及ぼす場合には、処分性が認められます。

つまり、処分性は名称や形式ではなく、法令上の根拠と、国民の権利義務に対する直接の法的効果によって判断されます。