商号は譲渡できる?営業譲渡や商号譲渡の要件と登記の効果を解説

商号は譲渡できます。ただし、商号だけを自由に切り離して譲渡できるわけではありません。原則として、営業とともに譲渡する場合、または営業を廃止する場合に限って認められます。

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商号は譲渡できるが、単独での譲渡には制限がある

商号とは

商号とは、商人や会社が営業上、自分を表示するために使う名称です。商号には財産的な価値があるため、会社を含む他の商人に譲渡できます。

商号を譲渡できる2つのケース

商号の譲渡が認められるのは、次のいずれかの場合です。

  1. 営業と一緒に商号を譲渡する場合
  2. 営業を廃止する場合

したがって、営業を続けたまま商号だけを単独で譲渡することはできません。営業譲渡に伴って商号も引き継がれることがあります。

商号譲渡の要件と登記の効果

商号譲渡の要件

商号を譲渡するには、営業とともに譲渡するか、営業を廃止している必要があります。また、商号の譲渡について登記をしなければ、第三者に対抗することができません。

商号譲渡の登記をしない場合

商号の譲渡は、登記をしなければ第三者に対抗できません。つまり、譲渡当事者間で合意していても、登記がなければ第三者に対して「商号を譲り受けた」と主張できないということです。第三者が譲渡の事実を知っていた場合でも、登記がなければ対抗できません。

「商号譲渡の登記」と「債務を負わない旨の登記」は別

この2つの登記は目的が異なります。

  • 商号譲渡の登記:商号を譲渡した事実を第三者に主張するための登記
  • 債務を負わない旨の登記:営業譲渡後に商号を続けて使う譲受人が、譲渡人の営業上の債務を負わないことを示す登記

営業譲渡後に商号を続用すると、譲受人も債務を負う

商号を続用する場合の原則

営業を譲り受けた会社や個人が、譲渡人の商号をそのまま使い続けると、譲渡人の営業によって生じた債務について、譲受人も弁済責任を負います。

債務を負わないための例外

ただし、次のいずれかを行った場合は、商号を続用していても、譲渡人の債務を弁済する責任を負いません。

  1. 譲受人が、債務を弁済する責任を負わない旨を登記する
  2. 譲渡人と譲受人の双方が、第三者にその旨を通知する

ここでいう登記は、商号譲渡そのものの登記ではなく、譲受人が譲渡人の債務を負わない旨を示す登記です。

譲渡人に対する債権の弁済に関する効果

譲渡人に生じた債権について、商号を続用する譲受人に弁済した場合でも、弁済した人が善意で、かつ重大な過失がなければ、その弁済は有効とされます。

商号を続用しない場合でも債務を引き受けることがある

譲受人が譲渡人の商号を続用しない場合でも、譲渡人の営業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲渡人の債権者は譲受人に対して弁済を請求できます。

この場合、譲渡人の責任は、広告があった日後2年以内に請求または請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅します。

詐害営業譲渡の場合

譲渡人が、譲受人に承継されない債務の債権者を害することを知って営業を譲渡した場合、残存債権者は、譲受人に対して、承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求できます。ただし、譲受人が営業譲渡の効力が生じた時に、残存債権者を害することを知らなかった場合は、この限りではありません。

まとめ:商号譲渡と営業譲渡後の責任を整理

  • 商号は譲渡できるが、営業とともに譲渡する場合または営業を廃止する場合に限られる
  • 商号譲渡は登記をしなければ、第三者に対抗できない
  • 営業譲渡後に譲受人が譲渡人の商号を続用すると、譲渡人の営業上の債務を負う
  • ただし、債務を負わない旨の登記、または譲渡人・譲受人双方からの通知があれば、責任を負わない
  • 商号を続用しなくても、債務を引き受ける旨の広告をした場合は、譲受人が責任を負うことがある