株主総会決議取消しの訴えとは
株主総会決議の法令違反などを裁判で取り消す手続
株主総会決議取消しの訴えとは、株主総会の招集手続や決議方法などに問題があった場合に、裁判所へ決議の取消しを求める手続です。会社法831条に定められています。
たとえば、招集通知の手続に違反がある場合や、議決権の扱いが不適切だった場合などが問題になります。取消しの判決は第三者にも効力が及び、取消しの効力は、対象となった決議時等にさかのぼって生じます。
誰が、誰を相手に提起できるのか
訴えを起こせるのは、株主、取締役、監査役、清算人等です。相手方、つまり被告となるのは、その決議をした株式会社です。
株主総会決議取消しの訴えが認められる主な原因
招集手続または決議方法が法令・定款に違反している場合
招集通知の方法や時期に違反がある場合、決議の進め方や議決権の計算に問題がある場合などです。法令や定款に違反していなくても、招集手続または決議方法が著しく不公正であれば対象になります。
決議の内容が定款に違反している場合
成立した決議の内容そのものが、会社の定款に反している場合も取消原因となります。
特別の利害関係を有する者の議決権行使により、著しく不当な決議となった場合
決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使し、その結果、決議が著しく不当なものとなった場合です。単に利害関係があるだけでは足りず、その議決権行使と著しく不当な決議との関係が必要です。
違反があっても請求が棄却されることがある
手続や決議方法に違反があっても、裁判所が、違反が重大ではなく、かつ決議に影響を及ぼさないと認めたときは、取消請求を棄却できます。したがって、手続上の問題があれば必ず決議が取り消されるわけではありません。
提起できる期限と手続
決議の日から3か月以内に提起する
決議取消しの訴えは、株主総会の決議の日から3か月以内に提起する必要があります。期間を過ぎると、決議取消しの訴えは提起できません。
管轄裁判所と被告
会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に、決議をした株式会社を被告として提起します。
決議無効確認の訴え・決議不存在確認の訴えとの違い
決議取消しの訴えとの使い分け
- 決議取消しの訴え:招集手続・決議方法の法令違反や定款違反、決議内容の定款違反など。3か月の期間制限があります。
- 決議無効確認の訴え:決議の内容が法令に違反している場合。提起期間の制限はありません。
- 決議不存在確認の訴え:株主総会決議そのものが不存在である場合。提起期間の制限はありません。
原因に応じて適切な訴えを選ぶ
定款違反や招集・決議方法の問題は、決議取消しの訴えを検討します。一方、決議内容の法令違反や決議自体の不存在が問題となる場合は、決議無効確認の訴えや決議不存在確認の訴えが問題となります。3か月の期限があるため、早めに問題を整理することが重要です。
まとめ
株主総会決議取消しの訴えは、株主総会の手続や決議内容に一定の問題があるとき、決議を取り消すための制度です。主な原因は、招集手続・決議方法の法令違反や定款違反、決議内容の定款違反、特別の利害関係を有する者の議決権行使による著しく不当な決議などです。決議の日から3か月以内に、会社の本店所在地を管轄する地方裁判所へ提起します。決議内容の法令違反や決議の不存在が問題となる場合は、決議無効確認の訴えや決議不存在確認の訴えとの区別が必要です。
