ADRとは、裁判所の判決によらず、和解・調停・仲裁などの代替的な紛争解決手続によって、私人間の民事紛争をより簡便に解決する方法です。話し合いによって当事者が合意する方法と、第三者が解決内容を判断し、その判断に当事者が従う方法があります。
ここでは、ADRの主な種類と、それぞれの特徴や法的な効力を解説します。
ADRとは
ADRの意味
ADRは「裁判外紛争解決手続」を意味します。私人間の民事紛争について、裁判所による判決ではなく、当事者の合意や第三者の判断によって争いを終わらせる仕組みです。
当事者が譲歩して合意するのが和解、第三者が当事者の間に入り、話し合いを仲介して合意を目指すのが調停です。一方、第三者が解決内容を判断するのが仲裁です。
なお、同じ「和解」でも、訴訟中に成立する場合と、訴訟の途中ではなく成立する場合では、法的効力が異なります。
ADRの主な種類と特徴
訴訟上の和解
訴訟の途中で、当事者が互いに譲歩して合意し、訴訟を終了させる方法です。裁判官は、訴訟の進行中いつでも和解を勧めることができます。
合意内容が調書に記載されると、確定判決と同じ効力を持ちます。そのため、相手が合意を守らない場合は、強制執行を申し立てることができます。
訴訟外の和解
訴訟の途中ではなく、当事者同士が譲歩して争いをやめる和解契約をする方法です。裁判所を介さずに成立します。
ただし、訴訟外の和解が成立しただけでは、直ちに強制執行はできません。相手が合意を守らない場合、別途訴訟によって判決を得て初めて強制執行ができます。
仲裁
当事者の合意に基づき、裁判所ではない第三者に紛争の判断を委ねる手続です。第三者が示した仲裁判断は当事者を拘束し、原則として裁判を含む不服の申立てはできません。
調停のように当事者の合意によって解決するのではなく、第三者の判断によって紛争を解決する点が特徴です。
調停
第三者が当事者の間に入り、話し合いを仲介して合意による解決を目指す手続です。第三者が一方的に結論を決めるのではなく、当事者が合意して初めて成立します。
そのため、当事者が合意しなければ、調停の内容に必ず拘束されるわけではありません。調停には、民事調停や家事調停があります。
特に夫婦間の紛争などの家事事件では、先に家庭裁判所へ調停を申し立てなければならない「調停前置主義」が採用されています。ただし、すべての紛争で調停前置主義が必要になるわけではありません。
ADRの種類による違い
| 解決方法 | 特徴 |
|---|---|
| 訴訟上の和解・訴訟外の和解・調停 | 当事者の合意によって解決する |
| 仲裁 | 第三者が判断し、その内容に当事者が拘束される |
和解や調停では合意の成立が必要であり、成立した場合の強制執行の可否は、手続の種類によって異なります。
