未成年者や成年被後見人などの制限行為能力者が契約をした場合、一定の要件を満たせば、その契約を取り消せます。ただし、本人が相手方に「自分は行為能力者である」と信じさせるための積極的な手段を用いたときは、例外的に取消しが認められません。
この記事では、民法21条に定められた「詐術」の意味と、詐術にあたるケース・あたらないケースを解説します。
制限行為能力者の詐術とは
詐術の意味
詐術とは、制限行為能力者が、相手方に自分を行為能力者だと信じさせるため、積極的な手段を用いることなどをいいます。
たとえば、未成年者が偽造した運転免許証を提示して、自分は成年者であると偽り、自動車の売買契約を行う場合です。このような場合、民法21条により、その制限行為能力者は契約を取り消せません。
詐術にあたるための基本的な考え方
制限行為能力者が契約をしたという事実だけで、詐術になるわけではありません。相手方を誤信させ、又は誤信を強めるような本人の言動などが必要です。
実際に詐術にあたるかは、本人の言動などを踏まえて判断されます。
制限行為能力者の詐術にあたり、契約を取り消せないケース
行為能力者であると積極的に偽った場合
本人が自分は成年者であるなどと偽り、相手方を誤信させた場合は、詐術にあたります。
偽造書類を使って相手方を信じさせた場合
たとえば、未成年者が偽造した運転免許証を提示して、自分は成年者であると偽った場合です。このように、相手方を誤信させるための積極的な行為があると、詐術にあたります。
制限行為能力者が黙っていただけの場合は詐術にあたるのか
単に制限行為能力者であることを黙秘しただけなら、詐術ではない
判例は、単に制限行為能力者であることを黙秘しただけでは、詐術にあたらないとしています。この場合、契約を取り消せる余地があります。
黙秘に加えて他の言動がある場合は詐術になり得る
もっとも、黙っていただけでなく、他の言動などとあいまって、相手方を誤信させ、又は誤信を強めたものと認められるときは、詐術にあたります。
まとめ:詐術にあたると制限行為能力者でも契約を取り消せない
制限行為能力者の詐術とは、相手方に自分が行為能力者だと信じさせるため、積極的な手段を用いることなどをいいます。偽造した運転免許証を提示して成年者であると偽る行為などが典型例です。
詐術にあたる場合、民法21条により契約を取り消せません。ただし、制限行為能力者であることを単に黙っていただけなら、詐術にはあたりません。黙秘に加えて、相手方を誤信させ、又は誤信を強める他の言動があったかどうかが重要です。
