無権代理とは?本人に効果が帰属する場合をわかりやすく解説

無権代理とは、代理権を持たない人が、本人の代理人として法律行為をすることです。原則として、その行為の効果は本人には及びません。

ただし、本人が無権代理行為を追認した場合や、表見代理が成立する場合には、本人に法律行為の効果が帰属します。ここでは、無権代理の基本と、本人が責任を負うケースを解説します。

無権代理とは?原則として本人に効果は帰属しない

無権代理の意味

無権代理とは、代理権のない人が、本人の代理人と称して法律行為をすることです。たとえば、会社から商品の売買契約を結ぶ権限を与えられていない従業員が、会社の代理人だと名乗って取引先と契約した場合が該当します。

この場合、代理権がないため、法律行為の効果が当然に会社へ帰属するわけではありません。

本人に効果が帰属するかどうかは本人の対応などで決まる

無権代理行為の効果は、原則として本人には帰属しません。しかし、本人が追認した場合や、表見代理の要件を満たす場合には、例外的に本人が法律行為の効果を負います。

本人が無権代理行為を追認した場合

追認とは

追認とは、本人が、無権代理行為の効果を自分に帰属させる意思を示すことです。本人は追認することも、追認を拒絶することもできます。追認されると、無権代理行為は本人に対して効力を生じます。

追認を相手方に主張するための条件

追認や追認拒絶は、相手方に対して行わなければ、相手方との関係で主張できません。ただし、本人が無権代理人に追認を伝えただけであっても、相手方が追認の事実を知った場合には、本人は追認を相手方に対抗できます。

追認の効果は原則として法律行為の時にさかのぼる

追認の効力は、原則として無権代理行為がされた時点までさかのぼります。そのため、法律行為をした時から本人に効果が帰属していたものとして扱われます。

ただし、本人と相手方が別の扱いを合意した場合や、遡及効によって第三者の権利を害する場合には、法律行為の時までさかのぼる効果は認められません。

表見代理が成立する場合も本人に効果が帰属する

表見代理とは

表見代理とは、実際には代理権がないものの、代理権があるように見える事情がある場合に、相手方を保護する制度です。表見代理が成立すると、本人は無権代理行為の効果を否定できず、相手方に対して法律行為を履行する責任を負います。

代理権授与の表示による表見代理

本人が実際には代理権を与えていないにもかかわらず、第三者に対して代理権を与えたように表示した場合です。相手方が代理権の不存在を知らず、知らないことにも過失がなく、表示された範囲内で契約したときは、本人に効果が帰属します。

権限外の行為による表見代理

本人から一定の代理権を与えられた人が、その範囲を超えて契約した場合です。相手方に、代理権があると信じる正当な理由があれば、権限外の行為についても本人に効果が帰属します。正当な理由とは、基本的に相手方が善意・無過失であることをいいます。

代理権消滅後の表見代理

以前は代理権を持っていた人が、代理権の消滅後に、その範囲内で代理行為をした場合です。相手方が代理権の消滅を知らず、知らないことにも過失がなければ、本人は代理権が消滅したことを相手方に主張できず、本人に効果が帰属することがあります。

無権代理で本人に効果が帰属する場合の整理

無権代理の原則は、本人に効果が帰属しないことです。例外的に本人へ効果が帰属する主な場合は、次の2つです。

  1. 本人が無権代理行為を追認した場合
  2. 表見代理が成立した場合

追認は、本人の意思によって法律行為の効果を引き受けるものです。一方、表見代理は、本人の表示や代理人との関係を前提に、代理権があると信じた相手方を保護するための制度です。したがって、本人の追認がなくても、表見代理の要件を満たせば本人が法律行為上の責任を負うことがあります。

まとめ

  • 無権代理とは、代理権のない人が本人の代理人として法律行為をすること
  • 原則として、無権代理行為の効果は本人に帰属しない
  • 本人が追認すると、原則として法律行為の時にさかのぼって効果が帰属する
  • 表見代理が成立した場合も、本人に効果が帰属する

無権代理については、本人が追認したか、または表見代理の要件を満たすかが重要な判断ポイントです。