無権代理とは、代理権を持たない人が、本人の代理人として法律行為をすることです。無権代理行為は、原則として本人には効力が及びません。ただし、本人が追認すれば、本人にその法律行為の効果が帰属します。
無権代理における追認・追認拒絶とは
無権代理とは
たとえば、無権代理人Bが、本人Aの代理人と称して、相手方Cと土地売買契約を締結した場合です。本人Aが追認しなければ、原則として契約の効果は本人Aに及びません。
追認とは
追認とは、本人が無権代理行為の効果を自分に帰属させる意思表示です。本人が追認すれば、無権代理行為の効果が本人に帰属します。
追認拒絶とは
追認拒絶とは、無権代理行為が無効であることを確定させる意思表示です。
追認・追認拒絶は誰に通知すればよいか
無権代理人または相手方に意思表示できる
追認や追認拒絶は、無権代理人に対しても、契約の相手方に対してもすることができます。ただし、無権代理人に伝えただけでは、原則として、その事実を相手方に対抗できません。
相手方に対抗するには相手方への通知が原則
民法113条2項では、追認または追認拒絶は、相手方に対してしなければ相手方に対抗できないと定めています。したがって、本人が無権代理人に追認を伝えただけでは、相手方がその事実を知らない限り、相手方との関係で追認を対抗できないのが原則です。
相手方が事実を知った場合
例外として、相手方が追認または追認拒絶の事実を知ったときは、相手方に直接通知していなくても、その意思表示を相手方に対抗できます。
たとえば、無権代理人Bが、Aの代理人と称してCと土地売買契約を締結した場合に、本人AがBに対して追認したとしても、相手方Cが追認の事実を知らなければ、AはCに対し追認を対抗できません。
追認・追認拒絶をした場合の効果
追認の効果
追認により、無権代理行為の効果は本人に帰属します。また、追認の効力は、原則として法律行為をした時点までさかのぼります。これを追認の遡及効といいます。
追認の遡及効が認められない場合
相手方との間に別段の意思表示がある場合は、遡及効は認められません。この別段の意思表示には、相手方の合意が必要です。また、遡及効によって第三者の権利を害する場合も、契約時までさかのぼる効力は認められません。
追認拒絶の効果
追認拒絶により、無権代理行為が無効であることが確定します。ただし、追認拒絶は、相手方に対してしなければ、原則として相手方に対抗できません。相手方が追認拒絶の事実を知ったときは、相手方に対抗できます。
追認・追認拒絶を通知するときの整理
- 追認・追認拒絶は、無権代理人にも相手方にもできる
- 相手方に対抗するには、原則として相手方への意思表示が必要
- 相手方が事実を知っていれば、直接通知がなくても対抗できる
- 追認の効力は原則として法律行為の時点にさかのぼる
- 追認拒絶により、無権代理行為が無効であることが確定する
まとめ
無権代理行為は、本人が追認すれば本人に効果が帰属し、追認拒絶をすれば無効であることが確定します。ただし、無権代理人に伝えただけでは、原則として相手方に対抗できない点に注意が必要です。相手方に意思表示するか、相手方が追認・追認拒絶の事実を知った場合に、相手方に対抗できます。
