時効の完成猶予とは?完成猶予事由と期間を一覧で解説

時効の完成猶予とは、一定の事由により、時効の完成を遅らせる制度です。裁判上の請求や協議を行う旨の合意などがあった場合に適用されます。

完成猶予は、これまで経過した時効期間をゼロに戻す制度ではありません。時効の進行が一定の事由の発生により無意味になり、事由の終了によって新たに進行を開始する「更新」とは異なります。

時効の完成猶予事由と期間一覧

裁判上の請求等による完成猶予|民法147条

裁判上の請求、支払督促、民事訴訟法の和解、民事調停法・家事事件手続法による調停、破産・再生・更生手続への参加があると、原則として、その事由が終了するまで時効は完成しません。

ただし、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定しないまま事由が終了した場合は、終了時から6か月が経過するまで猶予されます。

強制執行等による完成猶予|民法148条

強制執行、担保権の実行、民事執行法に規定する担保権の実行としての競売、財産開示手続が行われた場合、原則としてその事由が終了するまで時効は完成しません。

申立ての取下げや、法律の規定に従わないことによる取消しで事由が終了したときは、終了時から6か月が経過するまで猶予されます。

仮差押え・仮処分による完成猶予|民法149条

仮差押えまたは仮処分が行われた場合、これらの事由が終了した時から6か月が経過するまで時効は完成しません。

催告による完成猶予|民法150条

催告をすると、その時から6か月が経過するまで時効は完成しません。ただし、この期間中に再度催告をしても、再度の催告には完成猶予の効力がありません。

協議を行う旨の合意による完成猶予|民法151条

権利について協議を行う旨を書面で合意した場合、次のうち最も早い時まで時効は完成しません。

  1. 合意があった時から1年が経過した時
  2. 1年に満たない協議期間を定めた場合、その期間が経過した時
  3. 協議の続行を拒絶する旨の書面通知がされた場合、その通知の時から6か月が経過した時

完成猶予中の再度の合意には完成猶予の効力があります。ただし、完成猶予がなければ時効が完成する時から通算して5年を超えられません。また、催告中の合意や、合意中の催告には完成猶予の効力がありません。

法律上の保護や障害による完成猶予

事由 猶予される期間
未成年者・成年被後見人 行為能力者となった時、または法定代理人が就職した時から6か月
夫婦間の権利 婚姻の解消の時から6か月
相続財産 相続人が確定した時、管理人が選任された時、または破産手続開始の決定があった時から6か月
天災その他避けることのできない事変 障害が消滅した時から3か月

完成猶予の期間は、事由ごとに異なります。