消費貸借で契約内容に合わない物を渡された場合の借主の権利

消費貸借では、金銭だけでなく、米や酒など、同じ種類・品質・数量の物を返せるものを借りることがあります。では、貸主から契約で決めた内容と異なる物を渡された場合、借主は何を請求できるのでしょうか。

消費貸借における「契約内容に合わない物」とは

消費貸借は、受け取った物そのものではなく、後で同じ種類・品質・数量の物を返還する契約です。そのため、契約で定めた種類や品質と異なる物が引き渡されると、契約内容に適合しない物の問題が生じます。

民法590条2項が対象とするのは、引き渡された物の種類または品質が契約の内容に適合しない場合です。

無利息の消費貸借で契約に合わない物を渡された場合

貸主は目的物を特定した時の状態で渡したものと推定される

無利息の消費貸借では、貸主は、目的物を、その目的として特定した時の状態で引き渡し、または移転することを約したものと推定されます(民法590条1項)。この推定が覆されない限り、貸主は担保責任(契約不適合責任)を負いません。

引き渡された物の価額を返還できる

利息の有無にかかわらず、引き渡された物が種類または品質について契約に適合しない場合、借主は、その物の価額を返還できます(民法590条2項)。これは、契約どおりの物を返すのではなく、実際に渡された物の価額を返還することで、返還関係を処理できるという意味です。

利息付きの消費貸借で契約に合わない物を渡された場合

利息付きの場合、貸主は契約の内容に適合した目的物を引き渡す義務を負います。適合しない物を渡されたときは、売買契約の規定が準用されます(民法559条)。

借主が検討できる主な権利

  • 契約に適合した代替物の引渡しを請求する(民法562条)
  • 不適合の程度に応じて、利息の減額を請求する(民法563条)
  • 損害賠償を請求する(民法564条・415条)
  • 契約を解除する(民法564条・541条・542条)

つまり、利息付きの消費貸借では、引き渡された物の価額を返還する方法に加え、代替物の引渡しや利息の減額なども問題になります。

契約に合わない物を渡されたときの確認ポイント

  • 契約で定めた種類・品質・数量
  • 実際に渡された物との違い
  • 無利息か、利息付きか
  • 不一致の内容と程度

まず契約内容と引渡しの状況を確認し、無利息なら価額の返還、利息付きなら代替物の引渡し、利息の減額、損害賠償、解除などを要件に応じて検討します。

まとめ

消費貸借で契約内容に合わない物を渡された場合、借主は、種類または品質の不一致について、その物の価額を返還できます(民法590条2項)。さらに利息付きの契約では、代替物の引渡し、利息の減額、損害賠償、契約解除を請求できる場合があります。契約で予定された物と実際の物の違い、そして利息の有無を確認することが重要です。