行政計画に処分性はある?土地区画整理事業計画の判例を解説

行政計画であれば、すべて取消訴訟の対象になるわけではありません。計画の決定によって、国民の権利義務や法的地位に直接影響が生じるかが重要です。

行政計画の処分性とは

処分性の意味

処分性とは、行政庁の行為が取消訴訟の対象となる「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するかどうかをいいます。

判例上、処分とは、国や地方公共団体が法令に基づいて行い、その行為によって国民の権利義務を直接形成したり、その範囲を確定したりするものです。したがって、単に将来の方針を示すだけで、国民の法的地位に直接の変化を生じさせない計画は、原則として処分性を持ちません。

行政計画は一律に判断されない

行政計画の処分性は、「計画」という名称や形式だけで決まるものではありません。計画の決定によって、特定の人の権利義務などに直接変動が生じるかを、個別に判断します。

土地区画整理事業計画の処分性を否定した旧判例

最大判昭和41年2月23日

かつて最高裁は、土地区画整理事業計画の決定について、処分性を否定していました。事業計画を定めた段階では、土地所有者などの権利義務に直接の法的効果が生じるとはいえないと考えたためです。

この考え方では、実際に権利関係へ具体的な影響が生じるのは、後の仮換地の指定や換地処分の段階であるため、その時点で争えば足りるとされていました。

判例変更により処分性を肯定

最大判平成20年9月10日

その後、最高裁は従来の判例を変更しました。土地区画整理事業計画の決定は、単なる将来の予定ではなく、対象地域内の宅地所有者などの法的地位に変動をもたらすと判断したのです。

現在の結論

現在は、土地区画整理事業計画の決定に処分性が認められています。そのため、事業計画の決定段階で、その取消しを求める取消訴訟を提起できます。旧判例のように、仮換地の指定や換地処分まで待つ必要はありません。

なお、仮換地の指定や換地処分など、後に行われる行為については、事業計画の決定とは別に処分性が問題となります。

行政計画の処分性はどのように判断されるか

行政計画については、国民の権利義務や法的地位に直接影響を及ぼすかどうかが判断の中心です。判例上、処分性が肯定されたものには、土地区画整理組合の設立認可、第二種市街地再開発事業の事業計画の決定、土地改良事業の施行認可があります。

一方、都市計画法による用途地域指定の決定や、地区計画の決定・告示については、処分性が否定されています。このように、行政計画には処分性が認められるものと認められないものがあり、計画が個人の法的地位に直接変化を生じさせるかによって結論が分かれます。

まとめ

  • 処分性は、行政庁の行為が取消訴訟の対象となるかを判断する要件です。
  • 行政計画だからといって、当然に処分性が認められるわけではありません。
  • 土地区画整理事業計画は、旧判例では処分性が否定されていました。
  • 最大判平成20年9月10日により判例が変更され、現在は事業計画の決定に処分性が認められています。