消滅時効とは?債権の起算点と権利を行使できる時を解説

消滅時効とは、一定期間権利を行使しないと権利が消滅する制度

消滅時効の意味

消滅時効とは、一定期間権利を行使しないことにより、その権利を消滅させる制度です。債権では、債権者が支払いを求めるなどの権利行使をしないまま期間が経過すると、消滅時効の対象になります。

権利の取得を主張できる「取得時効」と異なり、消滅時効は、権利の消滅を主張できる制度です。

期間が過ぎただけで裁判上当然に処理されるわけではない

時効期間が経過しただけで、時効の利益を受けられるわけではありません。原則として、時効の利益を受ける者が時効を援用する意思を表示することが必要です。時効の援用がなければ、裁判所は時効の完成を前提として裁判をすることができません。

債権の消滅時効の起算点は2種類ある

主観的起算点は「権利を行使できることを知った時」

民法166条1項1号では、債権者が「権利を行使することができることを知った時」を起算点とします。

客観的起算点は「権利を行使できる時」

民法166条1項2号の客観的起算点は、債権者が知っていたかどうかに関係なく、法律上、権利を行使できる時です。「権利を行使することができる時」とは、法律上の障害がないことを意味します。

病気や天災事変などの事実上の障害があっても、時効は進行します。

債権の内容によって客観的起算点は異なる

債権の種類 客観的起算点
確定期限付債権 期限が到来した時
不確定期限付債権 期限が到来した時
期限の定めのない債権 原則として債権が成立した時
債務不履行による損害賠償請求権 本来の債務の履行を請求できる時
不法行為による損害賠償請求権 被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時、または不法行為時

したがって、期限付きの債権は、契約を結んだ日ではなく、原則として支払期限などが到来した時から時効が進行します。

債権の消滅時効は起算点から5年または10年

主観的起算点からは5年、客観的起算点からは10年

債権の消滅時効は、主観的起算点によれば5年、客観的起算点によれば10年です。

権利を行使できることを知らなければ、いつまでも時効にならないという意味ではありません。

債権の種類による主な特則

人の生命または身体が侵害された場合の債務不履行による損害賠償請求権では、客観的起算点からの時効期間が20年に延長されます。

また、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利は、10年より短い時効期間の定めがある場合でも、原則として10年の消滅時効にかかります。

債権または所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年の消滅時効にかかります。なお、所有権は消滅時効にかかりません。

実際の起算点は、契約内容や請求権が発生した原因によって異なります。時効の完成猶予や更新によって計算が変わる場合もあります。