抵当権者の同意の登記とは?抵当権設定後の賃借権を対抗する方法

抵当権設定後に設定された賃借権を、抵当権者に対抗するには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 賃借権設定登記を受ける
  2. 賃借権の登記前に登記された抵当権を有するすべての抵当権者から同意を得る
  3. 抵当権者の同意の登記をする

抵当権者から同意を得ただけでは足りず、同意の登記まで必要です。

抵当権者の同意の登記とは

抵当権者の同意の登記とは、民法387条1項に基づき、抵当権設定後の賃借権を、同意をした抵当権者に対抗できるようにするための登記です。

抵当権設定登記より前に対抗要件を備えた賃借権は、原則として抵当権者に対抗できます。一方、抵当権が先に登記され、その後に賃借権が設定された場合は、賃借権について登記などの対抗要件を備えていても、抵当権者との関係では賃借権を対抗できません。

そこで、抵当権者が賃貸借を認める場合に、一定の要件を満たせば、後から設定された賃借権でも、同意をした抵当権者に対抗できる仕組みが設けられています。

抵当権設定後の賃借権を対抗するための要件

賃借権設定登記を受けていること

まず、民法605条に基づく賃借権設定登記が必要です。借地借家法上の対抗要件だけでは、この制度を利用できません。

たとえば、土地賃貸借で借地上の建物について所有権などの登記をしている場合や、建物賃貸借で建物の引渡しを受けている場合でも、民法387条1項の要件である賃借権設定登記の代わりにはなりません。

先に登記された抵当権者全員の同意を得ること

対象となるのは、賃借権の登記より前に登記された抵当権を有する者です。該当する抵当権者が複数いるときは、全員の同意が必要です。一部の抵当権者しか同意していなければ、同意をしていない抵当権者には賃借権を対抗できません。

抵当権者の同意の登記をすること

抵当権者の同意を得るだけでは不十分です。不動産登記上、同意の登記をしなければなりません。つまり、賃借権設定登記、抵当権者の同意、同意の登記の3つが必要で、どれか1つでも欠けると、民法387条1項による対抗力は得られません。

抵当権者の同意の登記がある場合の効果

要件を満たすと、賃借権者は同意をした抵当権者に対して賃借権を対抗できます。ただし、同意をしていない抵当権者との関係まで当然に有利になるわけではありません。

抵当権者の同意の登記の規定は、土地と建物のいずれの賃借人にも適用されます。

抵当権者にとっても、賃貸借を認めることで抵当不動産を有効に活用でき、抵当不動産に対する賃料債権への物上代位などが債権回収に役立つ場合があります。