個人根保証契約では、一定の範囲に属する不特定の債務を保証します。一定の事由が発生すると、主たる債務の元本が確定します。
元本確定事由は、通常の個人根保証契約と、貸金等債務を含む個人貸金等根保証契約とで異なります。この記事では、民法465条の4に基づく違いを整理します。
個人根保証契約における「元本確定」とは
個人根保証契約の意味
個人根保証契約とは、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする根保証契約であって、保証人が法人でないものをいいます。
個人根保証契約では、主たる債務の元本、利息、違約金、損害賠償などについて、契約で定めた極度額を限度として保証人が責任を負います。極度額を定めない個人根保証契約は効力を生じず、極度額の定めは書面または電磁的記録でしなければ無効です。
元本確定の意味
元本確定とは、根保証の対象となる主たる債務の元本が、一定の事由によって確定することです。
極度額は保証人の責任の上限であり、元本確定は保証の対象となる主たる債務の元本を確定させる仕組みです。両者は別の問題です。
個人根保証契約の元本確定事由
通常の個人根保証契約では、次の事由があると主たる債務の元本が確定します。
保証人の財産について強制執行などが申し立てられ、その手続が開始された場合
債権者が、保証人の財産について、金銭の支払いを目的とする債権に関する強制執行または担保権の実行を申し立て、その手続が開始された場合が該当します。
したがって、申立てだけでは足りず、実際に強制執行または担保権の実行の手続が開始されたことが必要です。
保証人について破産手続開始の決定があった場合
保証人について破産手続開始の決定がされると、元本が確定します。破産手続の申立てをしただけではなく、裁判所による開始決定が必要です。
主たる債務者または保証人が死亡した場合
主たる債務者または保証人が死亡した場合も、元本確定事由となります。
個人貸金等根保証契約で追加される元本確定事由
個人貸金等根保証契約とは
個人貸金等根保証契約とは、個人根保証契約のうち、主たる債務の範囲に、金銭の貸渡しまたは手形の割引によって負担する債務が含まれるものです。個人根保証契約であるため、前述した元本確定事由も適用されます。
主たる債務者の財産について強制執行などが申し立てられ、その手続が開始された場合
債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払いを目的とする債権に関する強制執行または担保権の実行を申し立て、その手続が開始された場合、元本が確定します。ここでも、申立てだけでは足りず、手続の開始が必要です。
主たる債務者について破産手続開始の決定があった場合
主たる債務者について破産手続開始の決定がされた場合も、元本確定事由となります。破産手続の申立てだけでなく、開始決定が必要となる点に注意しましょう。
個人根保証契約との違い
通常の個人根保証契約では、保証人の財産について強制執行等の手続が開始された場合や、保証人について破産手続開始の決定があった場合が元本確定事由です。
これに対し、個人貸金等根保証契約では、これらに加えて、主たる債務者の財産について強制執行等の手続が開始された場合と、主たる債務者について破産手続開始の決定があった場合も元本確定事由になります。主たる債務者または保証人の死亡は、どちらの契約類型でも元本確定事由です。
まとめ:元本確定事由は契約類型によって異なる
- 個人根保証契約では、保証人の財産について強制執行等の手続が開始された場合
- 保証人について破産手続開始の決定があった場合
- 主たる債務者または保証人が死亡した場合
以上の事由により元本が確定します。個人貸金等根保証契約では、これらに加えて、主たる債務者の財産について強制執行等の手続が開始された場合と、主たる債務者について破産手続開始の決定があった場合も対象となります。
