贈与契約は、贈与者がある財産を無償で受贈者に与える意思を表示し、受贈者が受諾することによって効力を生じる契約です。贈与者は、物や権利について、契約の内容に適合したものを引き渡し、または移転する義務を負います。
贈与者の引渡義務とは
贈与の対象が物であれば、その物を受贈者に引き渡します。権利を贈与する場合には、その権利を受贈者に移転します。
贈与者は、物や権利に関して契約の内容に適合したものを移転する義務があります。
民法551条1項による特別な扱い
ただし、贈与は無償契約であることを考慮し、民法551条1項は、贈与者が、贈与の目的である物または権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、または移転することを約したものと推定しています。
贈与物に不具合がある場合の契約不適合責任
例えば、特定物である中古自動車を贈与する契約をした場合、契約時にその自動車に不具合があっても、その不具合がある状態で引き渡すことが契約の内容と推定されます。
そのため、不具合が存在する状態で引き渡せばよく、契約不適合による損害賠償責任などは負わなくてもよいことになります。
負担付贈与では責任が異なる
受贈者にも一定の給付義務を負担させる贈与契約を負担付贈与といいます。例えば、住宅ローンが残っている建物を贈与し、受贈者がその後の返済債務を負担する契約です。
負担付贈与については、その性質に反しない限り、売買など双務契約に関する規定が準用されます。また、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負います(民法553条、551条2項)。
まとめ
- 贈与者は、契約の内容に適合した物や権利を引き渡し、または移転する義務を負う
- 民法551条1項により、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、または移転することが契約内容と推定される
- 特定物について契約時に存在していた不具合は、その状態で引き渡せばよい場合がある
- 負担付贈与では、負担の限度で、贈与者が売主と同じ担保責任を負う
