地役権の工作物設置義務とは、地役権を利用するために必要な工作物を、承役地の所有者が自分の費用で設置・修繕する義務です。ただし、地役権が設定されているだけで、当然にこの義務が発生するわけではありません。
地役権の工作物設置義務とは
地役権者は承役地に工作物を設置できない
地役権は、要役地(利益を受ける土地)のために、承役地(利用される土地)を利用したり、承役地の利用を制限したりする権利です。
しかし、地上権とは異なり、地役権者が他人の土地である承役地上に工作物を設けることはできません。
契約で承役地所有者に設置・修繕義務を負わせられる
地役権の設定行為、または設定後の契約で定めれば、承役地所有者に対し、地役権の行使に必要な工作物を設置・修繕する義務を負わせることができます(民法286条)。
この義務は、承役地が第三者に譲渡された場合、その特定承継人にも引き継がれます。
承役地に設置された工作物の費用負担
原則は承役地所有者が費用を負担する
工作物設置義務が設定行為や契約で定められている場合、承役地所有者は、自分の費用で工作物を設置・修繕します。
一方、単に地役権が存在するというだけでは、承役地所有者に工作物の設置義務は生じません。
承役地所有者が工作物を使うときは費用を分担する
承役地所有者は、地役権の行使を妨げない範囲で、地役権行使のために承役地上に設けられた工作物を使用できます(民法288条)。この場合、承役地所有者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置・保存費用を分担しなければなりません。
承役地所有者は所有権を移転して義務を免れられる
承役地所有者は、いつでも、地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄し、地役権者へ移転することで、工作物設置義務を免れることができます(民法287条)。
ここでいう所有権放棄は、土地を使わないことや、費用の支払いを拒むことではありません。工作物の設置に必要な土地の所有権を、地役権者へ移転する必要があります。対象は土地全体ではなく、地役権に必要な部分に限ることもできます。
所有権が移転すると、従来の承役地所有者は工作物設置義務を免れ、対象部分は地役権者の所有となります。
まとめ
- 地役権者は、承役地に工作物を設置できません。
- 設定行為や契約によって、承役地所有者に設置・修繕義務を負わせられます。
- 承役地所有者が工作物を使用する場合は、利益の割合に応じて費用を分担します。
- 承役地所有者は、必要な土地の所有権を地役権者へ移転することで、工作物設置義務を免れられます。
