他人物売買とは?売主が所有していない物を売る契約
他人物売買の意味
他人物売買とは、売主が所有していない他人所有の特定物を、買主に売る契約です。たとえば、Cが所有する甲土地について、Aが売主となり、Bと売買契約を結ぶケースが挙げられます。
売主が所有者ではないからといって、契約が無効になるわけではありません。他人物売買も有効です(民法561条)。
売主が負う義務
他人物売買では、売主は所有者から目的物を取得し、その所有権を買主へ移転する義務を負います。そのため、契約を結んだ時点で売主がまだ所有権を持っていなくても、売買契約は有効に成立します。
他人物売買で所有権が買主に移転する時期
原則は「売主が所有権を取得した時」
他人物売買の目的物が土地や建物などの特定物である場合、買主への所有権移転時期は、原則として売主が後からその物の所有権を取得した時です。
つまり、他人物売買では、契約を締結した時点で直ちに買主へ所有権が移るわけではありません。売主が所有者から目的物を取得すると、その時点で買主に所有権が移転します(最判昭40・11・19)。
目的物の引渡しや代金支払いとの関係
他人物売買では、売主がいつ目的物の所有権を取得したかが、買主への所有権移転時期を判断するうえで重要です。
なお、契約において所有権を移す時期について特約を結んでいた場合は、当事者の合意に従います。
具体例で確認
たとえば、Cが所有する甲土地について、Aが売主となってBと売買契約を結んだとします。この時点では、Aは甲土地の所有権を持っていないため、Bに所有権は移転しません。
その後、AがCから甲土地を取得した場合、原則として、Aが所有権を取得した時点でBに所有権が移転します。
他人物売買の所有権移転と登記は別の問題
他人物売買では、まず当事者間で所有権がいつ移転したかを考えます。一方、不動産では、所有権が買主に移転していても、登記がなければ、その権利を第三者に対抗できないことがあります(民法177条)。
- 所有権の移転時期:原則として、売主が目的物の所有権を取得した時
- 第三者への対抗要件:不動産では、原則として登記が必要
したがって、登記がないことによって、当事者間の所有権移転時期そのものが直ちに変わるわけではありません。ただし、同じ不動産が二重に売買された場合など、第三者との関係では登記の有無が問題になります。
まとめ
- 他人物売買とは、売主が所有していない他人所有の特定物を売却する契約です。
- 他人物売買は有効で、売主は目的物を取得して買主に所有権を移転する義務を負います。
- 所有権は、原則として売主が目的物の所有権を取得した時に買主へ移転します。
- 不動産では、所有権の移転時期と、第三者に対抗するための登記を区別する必要があります。
