共有物の管理者とは?選任・解任の方法と権限を解説

共有物とは、1つの不動産や動産を複数人で所有している状態をいいます。共有者が多いと、賃貸や修繕などの判断をするたびに協議が必要となり、管理が難しくなることがあります。

そこで、共有物の管理を円滑にするため、共有物の管理者を選任できます。

共有物の管理者とは?選任・解任はどう決める?

共有物の管理者の役割

共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為を行う者です。たとえば、共有物の賃貸借契約を解除したり、一定期間の賃借権を設定したりできます。

ただし、管理者だからといって、共有物を自由に売却したり、著しく形状を変えたりできるわけではありません。管理者の権限は、あくまで「管理」に関する範囲に限られます。

管理者の選任・解任は持分価格の過半数で決める

管理者の選任や解任は、共有物の管理に関する事項に含まれます。そのため、共有者それぞれの持分の価格に従い、その過半数で決定します。

共有者全員の同意が原則として必要なのは、共有物に変更を加える場合です。ただし、形状または効用の著しい変更を伴わない軽微な変更は、管理行為として扱われます。管理者の選任・解任とは、判断の基準が異なります。

共有物の管理者ができること・できないこと

管理に関する行為を行える

管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができます。短期の賃借権等を設定できる期間は、次のとおりです。

  • 樹木の栽植または伐採を目的とする山林の賃借権等:10年以内
  • 上記以外の土地の賃借権等:5年以内
  • 建物の賃借権等:3年以内
  • 動産の賃借権等:6か月以内

これらの期間を超える賃借権等の設定は、共有物の「変更」に当たります。管理者だけではできず、原則として共有者全員の同意が必要です。

原則として、共有物の変更には共有者全員の同意が必要

共有物の形状または効用を著しく変える行為には、共有者全員の同意が必要です。一方、著しい変更を伴わない軽微な変更は、管理行為として扱われます。

したがって、管理者は軽微変更を除き、共有者全員の同意なく共有物に変更を加えることはできません。

所在が分からない共有者がいる場合の例外

管理者が他の共有者を知ることができない、またはその所在を知ることができない場合、管理者の請求により、裁判所が例外的な判断をすることがあります。具体的には、所在などが不明な共有者以外の共有者の同意を得て、共有物に変更を加えられる旨の裁判です。

共有物の管理者が守るべきルールと違反した場合の効力

共有者が決めた事項に従って職務を行う

共有者が共有物の管理に関する事項を決定した場合、管理者はその決定に従って職務を行わなければなりません。

決定に反する行為をした場合

管理者が共有者の決定に反して行った行為は、共有者との関係では効力を生じません。ただし、共有者は、その効力が生じないことを善意の第三者に主張できません。

まとめ

  • 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為を行う者
  • 選任・解任は、共有者全員の同意ではなく、持分価格の過半数で決める
  • 管理者は管理行為をできるが、著しい変更には共有者全員の同意が必要
  • 共有者が決めた事項に従って職務を行う必要があり、違反行為の効力には制限がある