履行遅滞とは、債務の履行が可能であるにもかかわらず、履行期を過ぎても債務者が履行しない状態です。ただし、履行期を過ぎただけで、直ちに損害賠償請求が認められるとは限りません。民法上は、一定の要件を満たす必要があります。
履行遅滞とは?損害賠償請求の対象となる状態
たとえば、会社が依頼を受けた設置工事について、約束した日までに工事を完了しなかったものの、後日であれば工事自体はできる場合が履行遅滞です。遅延によって生じた損害について、遅延賠償を請求できることがあります。
これに対し、目的物が失われるなどして履行そのものが不可能になった場合は履行不能、給付はされたものの契約内容に適合していない場合は不完全履行といいます。
履行遅滞による損害賠償請求の4つの要件
- 債務の履行が可能であること
遅れてでも履行できることが前提です。履行が不可能になっている場合は、履行不能による損害賠償の問題になります。 - 履行期を過ぎていること
履行期が到来していなければ、履行遅滞にはなりません。 - 債務者に帰責事由があること
債務者の責めに帰すべき事情が必要です。履行期を過ぎた場合、債務者が自分に責任がないことを証明しない限り、責任を負うとされます。ただし、債務者の責めに帰せない事情があるときは、損害賠償責任を負わないことがあります。 - 履行遅滞が違法であること
債務者が履行を拒める権利を持っていないことが必要です。たとえば、相手方が先に履行すべき場合の同時履行の抗弁権や、目的物を留置できる留置権があるときは、履行しないことが正当化される場合があります。
損害賠償の範囲は、原則として通常生ずべき損害です。特別の事情による損害は、その事情を債務者が予見すべきであった場合に限り請求できます。
履行遅滞による損害賠償請求はいつ発生する?
- 確定期限のある債務:履行日が明確に決まっている場合、その期限が到来した時点で履行遅滞になります。
- 不確定期限のある債務:将来の出来事を期限とし、時期が確定していない場合です。期限が到来した後に履行の請求を受けた時、または債務者が期限の到来を知った時のうち、早い時点で履行遅滞になります。
- 期限の定めがない債務:契約などで履行期を決めていない場合、債権者が債務者に履行を請求した時点で履行遅滞になります。
