婚姻の取消しとは、法律上の取消原因がある婚姻について、一定の者が家庭裁判所に請求し、婚姻の効力を将来に向かって消滅させる手続です。取消原因があるだけで、婚姻が直ちに無効になるわけではありません。
婚姻の「無効」と「取消し」の違い
無効とは、婚姻意思がない場合や、婚姻の届出をしていない場合など、法律上、婚姻の効力が認められないことです。
これに対し取消しは、取消原因があっても、取消権者が家庭裁判所に請求し、取り消されるまでは婚姻が有効に扱われます。当事者の一方が自分だけで婚姻を取り消すことはできません。
婚姻の取消原因・取消権者・請求期間
| 取消原因 | 取消権者 | 請求できる期間 |
|---|---|---|
| 不適齢者の婚姻 | 各当事者、親族、検察官 | 原則として婚姻適齢に達するまで。不適齢者本人は、適齢に達した後3か月間を経過するまで、または追認するまで |
| 近親者間・直系姻族間・養親子間の婚姻 | 各当事者、親族、検察官 | 期間制限なし |
| 重婚 | 各当事者、前婚の配偶者、親族、検察官 | 重婚状態にある間は期間制限なし |
| 詐欺・強迫による婚姻 | 詐欺・強迫によって婚姻した本人 | 詐欺を発見した後、または強迫を免れた後3か月を経過するまで、または追認するまで |
婚姻適齢に達していない者の婚姻、一定の近親者間の婚姻、重婚、詐欺・強迫による婚姻が主な取消原因です。詐欺・強迫の場合に請求できるのは、その影響を受けて婚姻した本人に限られます。
婚姻を取り消す方法と注意点
婚姻の取消しは、取消権者が家庭裁判所に請求して行います。取消原因ごとに請求できる者が異なるため、まず自分が取消権者に該当するかを確認する必要があります。
また、不適齢者の婚姻や詐欺・強迫による婚姻には期間制限があります。期間内であっても、本人が婚姻を追認すると、取消しができなくなる場合があります。なお、当事者の一方が死亡した後は、検察官から取消しを請求することはできません。
婚姻が取り消された場合の効力
婚姻が取り消されると、その効力は将来に向かって消滅します。取消し前に生じた婚姻の効力まで、過去にさかのぼって否定されるわけではありません。また、婚姻の取消しによって、子の嫡出子としての身分に影響はありません。
まとめ
- 婚姻の取消しは、取消原因がある婚姻について家庭裁判所に請求する手続
- 取消権者と請求期間は、取消原因ごとに異なる
- 取消しの効力は将来に向かって生じ、子の嫡出子としての身分には影響しない
