地上権と永小作権の違いとは?地代・期間・譲渡を比較

地上権と永小作権は、どちらも他人の土地を使うことができる物権です。ただし、利用する目的や地代・小作料、存続期間、譲渡の扱いには違いがあります。

大きく分けると、建物・工作物・竹木を所有するための権利が地上権、耕作や牧畜をするための権利が永小作権です。

地上権と永小作権の基本的な違い

地上権とは

地上権とは、他人の土地で工作物または竹木を所有するために、その土地を使用できる権利です(民法265条)。工作物には建物のほか、鉄塔や高架橋なども含まれます。

土地の地上部分だけでなく、地下や空間の一部を利用する地上権も設定できます。地下鉄などのために上下の範囲を限って設定するものは、区分地上権と呼ばれます。

永小作権とは

永小作権とは、小作料を支払って、他人の土地で耕作または牧畜をする権利です(民法270条)。農業に必要な物置などを除き、一般的な工作物を設置する目的には利用できません。

目的の違い

  • 地上権:建物・工作物・竹木の所有
  • 永小作権:耕作・牧畜

したがって、建物を建てるなら地上権、農地として利用するなら永小作権が基本です。

地代・存続期間・譲渡の違い

地代・小作料

地上権は、地代を定めるかどうかが契約上任意です。地代を定めた場合には、地上権者が支払います。

これに対し永小作権は、権利の内容として小作料を定める必要があります。不可抗力で収益が減っても、原則として小作料の免除や減額は請求できません。ただし、3年以上まったく収益がない、または5年以上小作料を下回る収益しかない場合は、永小作権を放棄できます。

存続期間

地上権の期間は、原則として自由に定められ、最短・最長の制限はありません。期間を定めなかった場合、慣習がなければ地上権者はいつでも放棄できます。地代があるときは、1年前の予告または1年分の地代の支払いが必要です。地上権者が放棄しない場合、当事者の請求により裁判所が20年以上50年以下の範囲で期間を定めます。

永小作権は、20年以上50年以下で定めます。50年を超える定めは50年となり、更新後の存続期間も更新時から50年を超えられません。期間を定めなければ、別段の慣習がない限り30年です。

譲渡・土地の賃貸

地上権は、設定者の承諾がなくても譲渡でき、他人への賃貸や地上権を目的とする抵当権の設定も可能です。

永小作権も原則として譲渡でき、存続期間中、耕作または牧畜のために土地を賃貸できます。ただし、設定契約で譲渡や賃貸を禁止できます。永小作権も抵当権の目的にできます。

地上権と永小作権の共通点と比較一覧

共通点

どちらも土地所有者との設定契約で取得できる物権で、相続や時効によって取得する場合もあります。また、設定登記が対抗要件となります。

比較項目 地上権 永小作権
利用目的 工作物または竹木の所有 耕作または牧畜
地代・小作料 定めは任意 必ず定める
存続期間 原則自由 20年以上50年以下
期間の定めがない場合 一定条件で放棄可能。放棄しない場合は裁判所が20年以上50年以下の範囲で定める 別段の慣習がなければ30年
譲渡・賃貸 設定者の承諾なく可能 原則可能。ただし契約で禁止可能