差押え後に第三債務者が弁済したらどうなる?二重払いのルールを解説

第三債務者が、差押えを受けた後に債務者へ支払ってしまうと、その支払いだけで問題が解決するとは限りません。差押債権者から、損害を受けた範囲で改めて支払うよう請求されることがあります。

差押え後に第三債務者が弁済すると、二重払いになることがある

第三債務者とは

第三債務者とは、差押えの対象となった債権について、債務者に支払う立場にある者です。たとえば、債務者が取引先に対して持つ売掛金が差し押さえられた場合、その売掛金を支払う取引先が第三債務者にあたります。

  • 差押債権者:債務者に対する債権を持ち、債務者の債権を差し押さえた者
  • 債務者:差押債権者に支払う義務を負い、第三債務者に対する債権を持つ者
  • 第三債務者:債務者に対して支払義務を負う者

第三債務者が債務者に支払っても、差押債権者から請求されることがある

民法481条1項は、差押えを受けた債権について、第三債務者が債務者に弁済した場合、差押債権者が受けた損害の限度で、第三債務者にもう一度弁済するよう請求できると定めています。

たとえば、河野さんが藤田さんに対して持つ債権を差し押さえた後、藤田さんの取引先である森さんが、藤田さんに売掛金80万円を支払ったとします。この場合、河野さんに損害が生じた範囲では、森さんが河野さんにも支払わなければならないことがあります。森さんが藤田さんと河野さんの双方に支払うため、これが二重払いです。

第三債務者が二重払いを求められる範囲

差押債権者の「損害の限度」に限られる

第三債務者は、差押え後に債務者へ支払ったというだけで、無制限に全額を二重払いするわけではありません。差押債権者が実際に受けた損害の限度で、改めて弁済を請求されます。

そのため、差し押さえられた債権の金額や、第三債務者が債務者へ支払った金額、差押債権者に生じた損害を確認する必要があります。

第三債務者が債務者にした弁済との関係

第三債務者と債務者との関係では、債務者への支払いは済んでいます。しかし、その支払いによって差押債権者に損害が生じた場合、第三債務者は差押債権者に対して別途支払うことがあります。最初の支払いがなかったことになるのではなく、差押債権者への支払いが追加で必要になる、という仕組みです。

二重払いをした第三債務者は、債務者に返還を請求できる

民法481条2項による返還請求

第三債務者が債務者に支払った後、差押債権者にも支払うことになった場合、民法481条2項により、第三債務者は債務者に対して、先にした弁済の返還を請求できます。

返還請求の相手は、差押債権者ではなく、先に支払いを受けた債務者です。

たとえば、森さんが藤田さんに80万円を支払った後、河野さんにも80万円を支払った場合、森さんは藤田さんに対し、先にした弁済の返還を請求できます。

まとめ:差押え後の第三債務者の弁済は二重払いにつながる

差押えを受けた債権について第三債務者が債務者へ弁済すると、差押債権者は損害の限度で、第三債務者に改めて支払うよう請求できます。ただし、再度の支払いは差押債権者の損害の範囲に限られます。二重に支払った第三債務者は、債務者に対して先の弁済の返還を請求できます。