個人根保証契約とは、個人が保証人となり、一定の範囲に属する不特定の債務をまとめて保証する契約です。通常の保証よりも対象となる債務が広がりやすく、保証人の責任額も分かりにくくなりがちです。そのため、民法では極度額や元本確定に関する特別なルールを定めています。
個人根保証契約とは
一定範囲の不特定の債務を保証する契約
保証とは、主たる債務者がその債務を履行しない場合に、保証人が代わりに履行する責任を負うものです。保証契約は、債権者と保証人との間で成立し、書面または電磁的記録で行わなければ効力が生じません。
根保証契約は、特定された1つの債務ではなく、一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約です。そのうち、保証人が法人ではないものを個人根保証契約といいます。
通常の保証との違い
通常の保証では、元本のほか、利息、違約金、損害賠償など、主たる債務に付随する範囲が保証人の責任となります。一方、個人根保証契約では、これらを含む保証人の責任全体について、上限額である「極度額」を定めなければなりません。また、契約の種類によっては、元本確定期日や元本確定事由にも特別なルールが適用されます。
個人根保証契約の基本ルール
極度額を定めなければ無効
極度額とは、個人根保証契約に基づいて保証人が負担する責任の上限額です。主たる債務の元本・利息・違約金・損害賠償だけでなく、保証債務について定めた違約金や損害賠償も、極度額の範囲に含まれます。
極度額の定めがない個人根保証契約は効力を生じません。また、極度額の定め自体も、書面または電磁的記録によらなければ無効です。したがって、保証人の責任は極度額が上限となります。
貸金等を含む場合の元本確定期日
主たる債務の範囲に、金銭の貸渡しや手形の割引による債務が含まれる契約は、「個人貸金等根保証契約」と呼ばれます。
この契約で元本確定期日を定める場合、契約締結日から5年を経過する日より後の日を指定することはできません。そのような定めは効力を生じません。元本確定期日を定めなかった場合や、定めが効力を生じない場合は、契約締結日から3年を経過する日が元本確定期日となります。
元本が確定する事由
個人根保証契約では、次の事由が発生した場合にも元本が確定します。
- 債権者が保証人の財産について、金銭の支払いを目的とする債権についての強制執行または担保権の実行を申し立て、その手続が開始されたとき
- 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき
- 主たる債務者または保証人が死亡したとき
個人貸金等根保証契約では、これらに加えて、債権者が主たる債務者の財産について、金銭の支払いを目的とする債権についての強制執行または担保権の実行を申し立て、その手続が開始されたとき、または主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたときにも元本が確定します。
事業に関する債務を保証する場合の特別ルール
事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約や、そのような債務を含む根保証契約では、保証人になろうとする個人が、契約締結日前1か月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ、契約は効力を生じません。
ただし、保証人が法人である場合は、この公正証書に関する規定は適用されません。
まとめ
- 個人根保証契約とは、法人ではない保証人が、一定範囲の不特定の債務を保証する契約です。
- 極度額が定められていない契約は効力を生じません。
- 貸金等を含む場合は、元本確定期日の上限や、元本が確定する事由に特別なルールがあります。
- 事業用の貸金等債務を保証する場合は、公正証書が必要となります。
