債権の二重譲渡とは?
債権譲渡とは、債権者が持っている権利を、別の人や会社に譲り渡すことです。債権は、原則として譲渡人と譲受人の合意だけで譲渡できます。
しかし、同じ債権を譲渡人が複数の相手に譲ることがあります。これが債権の二重譲渡です。
たとえば、AがBに対して有する貸金債権をCとDの両方に譲渡した場合、CとDのどちらがBに支払いを求められるのかが問題になります。この優先順位は、単に譲渡契約を先に結んだ者が勝つという仕組みではありません。
債権譲渡の優先順位は「確定日付のある通知・承諾」で決まる
まず債務者に対する対抗要件が必要
譲受人が債務者に対して債権譲渡を主張するには、譲渡人から債務者への通知、または債務者による承諾が必要です。
譲渡人から通知がされれば、債務者が別途承諾しなくても、譲受人は債務者に譲渡を主張できます。なお、債権譲渡の通知は、譲受人ではなく譲渡人から行わなければなりません。
第三者との優先順位には確定日付が必要
二重譲渡のように複数の譲受人が関係する場合は、債務者以外の第三者との関係でも、誰が優先するかを示す必要があります。
このとき必要になるのが、確定日付のある証書による通知または承諾です。確定日付とは、書面がその日に作成されたことを公的に証明できる日付をいいます。公正証書や内容証明郵便などが例です。
通常の通知だけでは債務者に対しては主張できても、他の譲受人との優先順位を決める場面では不十分になることがあります。
二重譲渡における優先順位の決まり方
一方だけが確定日付のある通知・承諾を備えている場合
Cへの譲渡には普通の通知しかなく、Dへの譲渡には確定日付のある証書による通知がある場合、Dが優先されます。Cの譲渡契約が先であっても、確定日付のある対抗要件を備えていなければ、Dに優先できません。
双方が確定日付のある通知・承諾を備えている場合
双方が要件を備えているときは、確定日付そのものの早さではなく、通知が債務者に到達した時期を比べます。承諾の場合は、確定日付のある証書による承諾の日時を基準にします。
たとえば、Cへの通知が6月10日にBへ到達し、Dへの通知が6月12日に到達した場合、いずれも確定日付のある証書による通知であれば、Cが優先します。基準となるのは、譲渡契約の締結日ではなく、対抗要件を先に備えた時期です。
通知が同時に到達した場合はどうなる?
確定日付のある通知がCとDについて同時にBへ到達した場合、CとDは同順位となり、いずれもBに弁済を請求できます。Bは、同順位の譲受人が他にもいるという理由だけで、支払いの責任を免れることはできません。
したがって、「先に譲渡契約をした者が必ず優先される」「確定日付の日付が早い者が必ず優先される」とは限りません。重要なのは、確定日付のある通知が債務者に到達した時期、または確定日付のある証書による承諾の日時です。
まとめ
- 債権の二重譲渡では、譲渡契約の先後だけで優先順位は決まりません。
- 債務者に対しては、譲渡人からの通知または債務者の承諾が必要です。
- 複数の譲受人との優先順位では、確定日付のある証書による通知・承諾が基準になります。
- 双方が要件を備えた場合は、通知の到達時または確定日付のある証書による承諾の日時の先後で決まります。
- 通知が同時に到達した場合は、双方が同順位で弁済を請求できます。
