委任契約の費用は誰が負担する?前払いや償還請求について解説

委任契約では、受任者が交通費など、委任事務を処理するための費用を支出することがあります。これらの必要な費用は、報酬の有無とは別に、委任者へ請求できます。受任者は、必要な費用の前払いや、立て替えた費用の償還を請求できます。

委任契約の費用は委任者が負担する

報酬がなくても必要な費用は別途請求できる

民法上の委任契約は、特約がなければ無償です。そのため、報酬を支払うという合意がなければ、委任者は原則として受任者に報酬を支払う義務を負いません。

しかし、報酬がない場合でも、委任事務を処理するために必要な費用まで受任者が負担するわけではありません。報酬と、交通費などの費用は別のものです。受任者が費用を立て替えた場合も、必要な費用であれば、委任者に請求できます。

受任者は必要な費用の前払いを請求できる

委任事務を処理するために費用が必要なとき、受任者は、委任者に対してその費用を先に支払うよう請求できます(民法649条)。ただし、前払いを請求できるのは、委任事務の処理に必要な費用に限られます。

立て替えた費用は委任者に償還請求できる

受任者が前払いを受けずに、委任事務を処理するために必要な費用を自分で支出した場合も、委任者に対して費用の償還を請求できます(民法650条)。請求できるのは必要な費用であり、その費用に加えて、支出の日以後の利息も対象となります。

この償還請求は、報酬の特約がない無償の委任でも認められます。ただし、委任事務の処理に必要とはいえない支出まで、当然に委任者へ請求できるわけではありません。

受任者が負担した債務について請求できる場合

受任者が委任事務を処理するために必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、受任者に代わってその債務を弁済するよう請求できます。弁済期がまだ到来していない場合は、相当の担保を求めることも可能です。

受任者に損害が生じた場合

受任者が委任事務を処理するため、自己に過失なく損害を受けた場合は、委任者に対してその損害の賠償を請求できます。費用の償還、債務の弁済、損害の賠償は、それぞれ異なる制度です。

委任契約の費用負担を整理すると

  • 委任事務の処理に必要な費用は、委任者へ請求できる
  • 支出前であれば、受任者は必要な費用の前払いを請求できる
  • 受任者が支出した場合は、必要な費用と支出の日以後の利息を請求できる
  • 報酬の有無と、委任事務の処理に必要な費用の負担は別に判断する