不利益処分の意見陳述手続とは?聴聞と弁明の機会の付与の違いを解説

行政庁が、許認可の取消しなど相手方に不利益となる処分をしようとするときは、原則として、処分を受けることになる人に意見を述べる機会を与えなければなりません。これが不利益処分の意見陳述手続です。

意見陳述手続には、「聴聞」と「弁明の機会の付与」があります。どちらを行うかは、処分が相手方の権利や資格に与える影響などによって決まります。

不利益処分の意見陳述手続とは

行政庁には意見陳述手続を実施する義務がある

行政庁は、不利益処分をしようとする場合、処分の名あて人となるべき者について、意見陳述の手続を取らなければなりません。名あて人となるべき者とは、その処分によって不利益を受けることになる相手方を指します。

したがって、意見陳述手続は行政庁の判断で自由に省略できるものではなく、法律上の義務として実施されるのが原則です。

意見陳述手続には聴聞と弁明の機会の付与がある

不利益処分のうち、相手方の権利・資格・地位に大きな影響を与えるものについては、原則として聴聞が行われます。それ以外の処分では、弁明の機会の付与が選ばれます。

聴聞と弁明の機会の付与の違い

聴聞とは

聴聞とは、相手方のために審理の場を設け、そこで口頭による意見陳述や質問を認める手続です。処分を受ける側が、自分の主張や反論を述べ、防御する機会を保障する点に特徴があります。

原則として、次のような不利益処分では聴聞が行われます。

  • 許認可等を取り消す処分
  • 相手方の資格や地位を直接奪う処分
  • 名あて人が法人である場合に、その役員の解任を命じる処分
  • 名あて人の業務に従事する者の解任を命じる処分
  • 名あて人の会員である者の除名を命じる処分
  • 上記以外で、行政庁が相当と認める処分

なお、「許認可等の取消し」には、行政法上の取消しだけでなく、事情の変化などを理由に効力を失わせる撤回も含まれます。

弁明の機会の付与とは

弁明の機会の付与は、聴聞の対象にならない不利益処分について行われる手続です。原則として書面で、意見や反論を述べます。聴聞のように、審理の場で口頭による意見陳述や質問を行う手続ではありません。

両者の違い

比較項目 聴聞 弁明の機会の付与
対象 権利・資格・地位への影響が大きい処分など 聴聞の対象にならない処分
意見の述べ方 審理の場で口頭 原則として書面
特徴 質問などもでき、防御する機会が与えられる 書面で弁明する機会が与えられる

聴聞や弁明の機会の付与を省略できる場合

意見陳述手続は原則として必要ですが、法律上、次のような場合には聴聞や弁明の機会の付与を省略できます。

  • 公益上、緊急に処分をする必要があり、手続を行うことができない場合
  • 法令上必要とされる資格がなかったこと、または失われたことが判明した場合に必ず行うこととされている不利益処分で、その資格の不存在または喪失の事実が、判決書・決定書・任命権者の書類などの客観的資料で直接証明されている場合
  • 施設・設備の設置、維持、管理や物の製造・販売などについて、法令上の技術的基準が明確に定められており、専らその基準を満たしていないことを理由として、基準に従うよう命じる不利益処分で、その不充足の事実が計測や実験など客観的な方法で確認されている場合
  • 納付すべき金銭の額を確定する処分、金銭の納付を命じる処分、金銭の給付決定を取り消す処分その他金銭の給付を制限する処分
  • 処分によって課される義務が著しく軽微で、政令により手続不要とされている場合

まとめ:聴聞と弁明の機会の付与はどう違うのか

不利益処分では、行政庁は原則として意見陳述手続を行います。聴聞は、許認可の取消しや資格・地位の直接的な剥奪など、影響の大きい処分が対象で、口頭で意見を述べたり質問したりできます。一方、弁明の機会の付与は、それ以外の処分について、原則として書面で弁明する手続です。ただし、法律上の例外に該当する場合は、いずれの手続も省略されることがあります。