行政上の強制徴収とは、行政上の金銭債務が支払われない場合に、義務者の財産を換価するなどして、未払いの金銭を強制的に回収する制度です。
国税を滞納したときは、国税徴収法に基づく「滞納処分」が行われます。この記事では、行政上の強制徴収の意味と、国税の滞納処分がどのように進むのかを解説します。
行政上の強制徴収とは
行政上の金銭債務を強制的に徴収する制度
行政上の強制徴収は、行政上の義務のうち、一定の金銭債務を対象とする強制執行の手続です。義務者が自ら支払わない場合でも、その財産を換価して得た金銭を債務の支払いに充てます。
代表的なものが、納期限を過ぎても納付されない国税を徴収する手続です。これは、過去の義務違反を罰することが目的ではなく、未払いの税金を回収して国の租税債権を実現することを目的とします。
行政上の強制執行における位置付け
行政上の強制執行には、主に次の類型があります。
- 代執行:義務者に代わって行政庁などが行為を実施する
- 執行罰:過料を予告するなどして、義務の履行を促す
- 直接強制:身体や財産に直接実力を加え、義務が履行された状態を実現する
- 行政上の強制徴収:金銭債務を財産の換価などによって回収する
このように、行政上の強制徴収は、金銭債務に特化した制度です。行政罰のように、義務違反への制裁として罰を科すものとは異なります。
国税の滞納処分による徴収方法
国税徴収法に基づいて行われる
国税の滞納処分は、国税徴収法に定められた手続によって行われます。行政上の強制徴収については一般法が存在しないため、国税以外の金銭債権については、個別の法律が国税徴収法の滞納処分の手続を準用している場合があります。
滞納処分の基本的な流れ
国税の納付がされない場合、次の順序で手続が進みます。
- 督促:滞納された国税を納付するよう求めます。
- 財産の差押え:督促後も納付されない場合、滞納者の財産を差し押さえます。
- 公売または売却による換価:差し押さえた財産を公売・売却し、金銭に換えます。
- 配当:換価によって得られた金銭を、滞納された国税などの支払いに充てます。
たとえば、国税の未納が続くと、まず督促が行われます。それでも納付されなければ財産が差し押さえられ、その財産を換価して得た金銭が税金の支払いに充てられます。
まとめ
- 行政上の強制徴収とは、未払いの行政上の金銭債務を強制的に回収する制度です。
- 国税については、国税徴収法に基づく滞納処分が行われます。
- 滞納処分は、督促、差押え、換価、配当の順に進みます。
- 行政上の強制徴収は金銭債務を実現する手続であり、行政罰のような制裁とは異なります。
